ドローンの夜間飛行に保険は必須?リスクと法規制、おすすめの備え方まとめ

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ドローンの夜間飛行は、夜景空撮やインフラ点検で需要が高まる一方、視界不良による墜落リスクが日中より高まります。万一の事故に備える保険の加入と、正しい法知識の習得は、夜間飛行を行う操縦者にとって不可欠です。本記事では、夜間飛行における事故リスク、加入を検討すべき保険の種類と免責の注意点、航空法に基づく手続きについて解説します。

この記事でわかること

  • 夜間飛行における賠償リスクと、検討すべき2種類の保険(賠償責任保険・機体保険)
  • 夜間飛行に関する保険の免責事項と、事前に確認すべきポイント
  • 航空法における「特定飛行」のルールと、無許可飛行による保険適用外リスク
  • 安全な飛行と確実な保険適用のための、国家資格取得のメリット

 

目次

1. ドローンの夜間飛行における事故リスクと保険の必要性

1-1. 視界不良がもたらす空間認識の喪失と障害物への衝突リスク

1-2. 事故発生時の被害と賠償責任の範囲

2. ドローン保険の種類と夜間飛行時の注意点・選び方

2-1. 賠償責任保険と機体保険の違いとそれぞれの役割

2-2. 夜間飛行における保険の免責条項と確認すべきポイント

3. 夜間飛行に関する法律(航空法)と許可・承認

3-1. 航空法における特定飛行と夜間飛行の定義

3-2. 国土交通省への許可・承認手続き(DIPS2.0)と保険の連動

4. 保険適用と安全飛行を確実にするためのスキルと資格

4-1. 夜間・目視外飛行に不可欠な高度な操縦スキル

4-2. ドローンの国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)を取得するメリット

5. まとめ:安全な夜間飛行のために確認すべきこと

 

1. ドローンの夜間飛行における事故リスクと保険の必要性

夜間飛行は、日中に比べて視界が大幅に制限されるため、機体の位置や周囲の障害物を正確に把握することが困難になります。操作ミスや衝突による事故リスクが一気に高まるからこそ、まずは夜間特有のリスクを正しく理解し、万全の対策を講じることが重要です。

1-1. 視界不良がもたらす空間認識の喪失と障害物への衝突リスク

夜間飛行における主要なリスクは「視界不良」です。人間の目は暗闇では距離感を正確に測りにくくなります。日中であれば直感的に把握できる機体までの距離や高度も、夜間には判断が難しくなります。

ドローンに搭載されたLEDライトは、機体の前後左右の向きを操縦者が把握するためのものであり、周囲を照らす機能はありません(照明用ライトを別途搭載した産業用機体を除く)。そのため、日中なら目視できる送電線や木の枝、アンテナなどの障害物も、夜間には視認が困難になります。

モニター越しの映像(FPV:First Person View)を活用する方法もありますが、暗所ではカメラセンサーのノイズが増加し、映像の解像度が低下し、視認性や鮮明度も落ちます。その結果、障害物の発見が遅れる場合があります。

さらに、夜間は操縦者が機体の姿勢(傾き)を見失いやすくなります。機体が風に流された際、日中であればLEDの傾きや機体のシルエットから姿勢を判断できますが、夜間はこの判断が遅れがちです。姿勢の誤認は、修正操作の方向を間違えるヒューマンエラーにつながり、墜落リスクを高めます。

こうしたリスクを軽減するためには、障害物センサー(赤外線・超音波方式)を搭載した機体の選定や、飛行前の周辺環境の下見が有効です。

1-2. 事故発生時の被害と賠償責任の範囲

コントロールを失ったドローンが墜落した場合、重大な被害が生じる可能性があります。たとえば、高度30メートルから落下する重さ1kgの機体が人に当たった場合、重傷につながる危険性があります。

対人事故が発生した場合、治療費・入院費・休業損害・慰謝料・後遺障害に対する賠償を含め、数千万円から1億円を超える損害賠償を請求される可能性があります。自動車事故の判例を参考にすると、後遺障害が残るケースでは賠償額が高額になる傾向があります。

対物事故であっても、走行中の自動車のフロントガラスを破損させた場合や、他人の家屋の屋根・外壁を損傷させた場合、数十万円から数百万円単位の賠償責任が生じます。電力設備や通信設備などのインフラを破損させた場合は、復旧費用に加え、停電・通信障害による間接的な損害賠償を求められる可能性もあります。

保険に未加入であれば、これらの賠償金を全額自己負担することになり、個人の生活や会社の経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、万が一の事態に備える保険への加入が強く推奨されます。

2. ドローン保険の種類と夜間飛行時の注意点・選び方

ドローン保険は大きく2種類に分かれます。それぞれの特徴と、夜間飛行時に注意すべきポイントを解説します。

2-1. 賠償責任保険と機体保険の違いとそれぞれの役割

賠償責任保険は、第三者に怪我をさせたり(対人)、他人の財物を壊したり(対物)した際の損害賠償責任を補償する保険です。高額な賠償リスクに備えるための基本的な保険であり、対人・対物それぞれの補償上限額を確認した上で加入することが重要です。一般的には、対人1億円以上の補償額が推奨されています。

DJIなどの主要メーカーでは、対象製品の購入・登録時に1年間の賠償責任保険が無償で付帯される場合があります(別途登録手続きが必要)。ただし、2年目以降は自動更新されないケースが多いため、自身で更新手続きを行うか、別の保険に加入する必要があります。無償付帯期間の終了時期は、購入時の登録日を基準に確認してください。

機体保険は、ドローン自体の破損や紛失を補償する保険です。操縦ミスによる墜落、水没、飛行中の行方不明(ロスト)などの際に、機体の修理代や再購入費用が支払われます。

趣味で使用する数万円程度の小型機であれば、機体保険の必要性は低い場合もあります。一方、数十万円から数百万円の産業用ドローンを業務で使用する場合は、機体の損失が事業の継続に直結するため、加入を検討すべきです。保険料は機体価格の5〜15%程度が目安となります。保険料は保険会社・機体・プランによって異なりますが、機体価格の7〜11%程度が一般的な目安です。詳細は各保険会社の掛金表でご確認ください。

関連記事:ドローン保険の義務化を解説!個人・法人別おすすめ比較と選び方

2-2. 夜間飛行における保険の免責条項と確認すべきポイント

保険に加入していても、飛行条件によっては補償されない場合があります。夜間飛行を行う前に、保険の契約約款にある免責条項を必ず確認してください。

確認すべき主なポイントは以下の3点です。

①夜間飛行の補償対象可否

保険会社やプランによっては、夜間飛行を補償対象外とする免責条項が設けられている場合があります。契約書の「免責事項」または「補償対象外となる飛行」の項目を確認してください。

②事前申告の要否

夜間飛行を補償に含めるには、事前に保険会社への申告が必要な場合があります。申告に伴い、割増保険料の支払いが求められることもあります。申告なしに夜間飛行を行い事故を起こした場合、保険金が支払われない可能性があります。

③飛行許可・承認の取得状況

航空法に基づく許可・承認を得ずに飛行した場合、法令違反として免責事項に該当するケースがほとんどです。この点は次章で詳しく解説します。

不明な点がある場合は、保険証券を手元に用意した上で、保険代理店または保険会社のカスタマーセンターに問い合わせてください。

3. 夜間飛行に関する法律(航空法)と許可・承認

保険への加入に加え、航空法に基づく手続きも必要です。改正航空法において、夜間飛行は「特定飛行」に該当し、事前の手続きが求められます。

3-1. 航空法における特定飛行と夜間飛行の定義

航空法では、ドローンの飛行空域および飛行方法に制限を設けており、一定の条件に抵触する飛行を「特定飛行」と呼びます。特定飛行には、「飛行空域」に関する4種(空港周辺・高度150m以上・人口集中地区(DID)上空・緊急用務空域)と、「飛行方法」に関する6種(夜間飛行・目視外飛行・人や物件から30m未満・催し場所上空・危険物輸送・物件投下)の計10種が定められています。

夜間飛行(日没から日の出までの間の飛行)は、機体重量100g以上のドローンが対象であり、周囲に人がいない私有地上空であっても、夜間飛行であれば特定飛行に該当します。日没・日の出の時刻は地域や季節によって異なるため、国立天文台のウェブサイトなどで飛行日・飛行地域の正確な時刻を事前に確認してください。

事前に国土交通大臣からの「承認」を得ずに飛行させた場合、航空法違反として50万円以下の罰金が科される可能性があります。

3-2. 国土交通省への許可・承認手続き(DIPS2.0)と保険の連動

特定飛行の許可・承認は、国土交通省が運営する「ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)」を通じてオンラインで申請します。法令上は「飛行開始予定日の10開庁日前(土日祝を除く)まで」の申請が求められていますが、手続きの差し戻しや連休などを考慮し、実務上は3〜4週間前を目安に余裕を持って申請することを推奨します。なお、2025年3月以降は包括申請の手続きが一部簡略化されており、承認までの期間が短縮されるケースも増えています。

夜間飛行の申請では、主に以下の2点が審査されます。

  • 操縦者の訓練実績: 夜間飛行の訓練を一定時間以上実施していること
  • 機体の灯火設備: 機体の位置や向きを操縦者が視認できる灯火(LEDライト等)が装備されていること

ここで重要なのは、無許可で夜間飛行を行った際の事故は、法令違反として保険の免責事項に該当し、保険金が支払われない可能性がある点です。航空法の手続きと保険の適用条件は連動しているため、両方を満たすことが不可欠です。

関連記事:ドローン許可・承認申請の手引き|人口集中地区や夜間飛行の最新ルール(2025年版)

4. 保険適用と安全飛行を確実にするためのスキルと資格

許可・承認を得た上で、安全な飛行を実現するには操縦スキルも重要です。事故を防ぎ、保険の適用条件(安全配慮義務)を満たすためには、確かな操縦技術が求められます。

4-1. 夜間・目視外飛行に不可欠な高度な操縦スキル

暗闇の中で機体の挙動を予測し、計器の数値を読み取りながら操作する技術は、日中の飛行よりも高度な操縦スキルが求められます。具体的には、以下のようなスキルが必要です。

  • 計器飛行の技術: 高度計、速度計、GPS座標などの数値情報を基に、目視に頼らず機体を制御する技術
  • 緊急時の手動操作: GPS信号の喪失やセンサー異常が発生した際に、マニュアルモードで機体を安全に帰還させる技術
  • 飛行前の環境確認: 飛行エリアの障害物、電波環境、気象条件を事前に調査し、リスクを評価する能力

トラブル発生時に冷静に手動操作で機体を制御できる技術と経験が必要です。独学ではなく、登録講習機関での訓練を受けることが推奨されます。登録講習機関は国土交通省のウェブサイトで検索できます。


4-2. ドローンの国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)を取得するメリット

夜間飛行の安全性と手続きの効率化に有効な手段の一つが、国家資格の取得です。2022年12月に制度化された「無人航空機操縦士」の資格には、一等資格と二等資格の2種類があります。

国家資格を取得し、機体認証を受けたドローンを使用することで、夜間飛行などの特定飛行における事前の許可・承認手続きが一部免除されます(二等資格・カテゴリーII飛行の場合)。これにより、突発的な夜間の点検業務や災害対応にも迅速に対応できるようになります。

国家資格の取得には、登録講習機関での講習受講後に指定試験機関での試験に合格する方法と、指定試験機関で直接受験する方法(独学)の2つのルートがあります。夜間飛行や目視外飛行を行う場合は、基本資格に加えて「限定変更」の追加講習・試験が必要です。

国家資格の保有は、保険契約時の審査や、事故発生時に安全配慮義務を果たしていたことを示す材料の一つとなる可能性があります。

 

関連記事:【初心者さん必見!】ドローン資格まるわかりガイド:種類・必要性・取り方、ぜんぶ解説します!

5. まとめ:安全な夜間飛行のために確認すべきこと

ドローンの夜間飛行は、映像制作や業務効率化に有用な一方、視界不良による事故リスクを伴います。安全に夜間飛行を行うために、以下の点を確認してください。

  • 保険の加入と内容確認: 賠償責任保険・機体保険に加入し、夜間飛行に関する免責条項を保険代理店に確認する
  • 法的手続きの実施: DIPS2.0を通じて、夜間飛行の許可・承認を飛行予定日の10開庁日前(土日祝を除く)までに申請する(実務上は2〜3週間前を推奨)
  • 操縦技術の習得: 登録講習機関での訓練や、国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)の取得を検討する
  • 飛行前の環境確認: 飛行エリアの障害物・電波環境・気象条件を事前に調査し、日没時刻を確認する

航空法に基づく手続きを怠った場合、罰則に加え、保険が適用されないリスクもあります。法令遵守と十分な技術習得の上で、夜間飛行に臨んでください。

 

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この記事を書いた人

中山 慶一 中山 慶一

ドローンマスターズスクール運営元 株式会社モビリティテクノ ドローン事業部統括部長 2017年からドローン業務に従事し外注案件及び新規スクールの開校を手掛けています。