「ドローンを自分の思い通りに、自動で飛ばせたら面白いだろうな」
もしあなたが一度でもそう考えたことがあるなら、ドローンプログラミングはまさにその夢を叶えるスキルです。本記事では、あなたのキャリアの可能性を広げるドローンプログラミングの世界を、具体的な学習ステップと共にご案内します。
2-2. 【ホビー・実用向け】キャリアを見据えるならPython一択
3-1. ステップ1:まずはプログラミング対応ドローンを手に入れよう
1. なぜ今、ドローンプログラミングが熱いのか?

ドローンが単なる空撮ツールから、産業のあらゆる場面で活躍する「空飛ぶロボット」へと進化している今、その頭脳を設計するプログラミングスキルへの需要は急速に高まっています。
1-1. 趣味からビジネスまで広がる可能性
ドローンプログラミングでできることは、多岐にわたります。
- 趣味・クリエイティブ領域:
- 自動追尾撮影: Pythonと画像認識ライブラリを使えば、指定した人物や物体を自動で追いかけながら、映画のような映像を撮影できます。
- アクロバティックな編隊飛行: 複数のドローンを同期させ、音楽に合わせて光と動きのショーを創り出す。Tello EDUのような機体を使えば、個人でも挑戦可能です。
- ビジネス・産業領域:
- インフラ点検の自動化: 橋梁や送電線など、人が立ち入るには危険な場所の点検ルートをプログラムし、自動で飛行・撮影。撮影データからAIが劣化箇所を自動で検出することも可能です。
- 精密農業(スマート農業): 広大な農地の上空を自動航行し、作物の生育状況をセンサーでデータ化。そのデータに基づき、必要な場所にだけ農薬や肥料をピンポイントで散布します。
- 測量・建設: プログラムされたルートを正確に飛行し、短時間で3Dデータを取得。工事の進捗管理や設計との差異確認を効率化します。
これらの例はほんの一部です。ドローンプログラミングの技術は、社会が抱える多くの課題を解決する力を持っています。
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1-2. スキルアップとキャリア形成へのインパクト
IT業界で汎用性の高いPythonなどのスキルと、ドローンという専門領域の知識を掛け合わせることで、自身の市場価値を高めることができます。
ITエンジニアのキャリア拡張
Web開発やアプリ開発の経験を持つエンジニアがドローンプログラミングを習得すれば、物理的なデバイスを動かすIoT・ロボティクス分野へのキャリアチェンジが現実的な選択肢となります。単にドローンを飛ばすだけでなく、ドローンが取得したデータを処理・活用するシステム全体を構築する、より付加価値の高い役割を担うことができます。
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職種名 |
主な役割 |
求められるスキルセット |
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ドローンシステム開発エンジニア |
自律航行プログラムの設計、ドローン制御システムの開発、フライトコントローラーのカスタマイズ |
Python, C++, ROS (Robot Operating System), Linux, 組み込みシステム知識 |
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IoTバックエンドエンジニア |
ドローンから送られる大量のデータをリアルタイムで処理・蓄積・解析するクラウド基盤の構築 |
Python, Go, クラウド (AWS/Azure/GCP), データベース, MQTTなどの通信プロトコル |
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画像解析エンジニア |
ドローンが撮影した映像から、AIを用いて特定の物体を検出したり、劣化状況を診断したりするアルゴリズムの開発 |
Python, OpenCV, TensorFlow/PyTorch, 機械学習・深層学習に関する専門知識 |
非IT専門職のDX推進力
建設、農業、映像制作などの現場担当者がプログラミングスキルを身につけることで、自ら現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するキーパーソンになることができます。外部のITベンダーに丸投げするのではなく、現場の課題を最もよく知るあなたが「何を作りたいか」をコードで具体的に示すことで、開発プロジェクトの成功確率は格段に上がります。
「プログラミングは未経験だから…」と不安に思う必要はありません。後述するように、初心者でも始めやすい言語や学習環境が整っているのが、今のドローンプログラミングの魅力です。
1-3. 安全な飛行のための必須知識(法規制とリスク管理)
プログラミングでドローンを飛ばす前に、必ず理解しておくべきことがあります。それは、安全と法律です。特に自動航行は、手動操縦とは異なるリスクが伴います。
- 機体登録の義務
2022年6月より、100g以上のすべてのドローンは国への機体登録が義務化されました。Telloシリーズの多くは100g未満のため対象外ですが、将来的に本格的な機体へステップアップする際には必須の手続きです。 - 飛行許可が必要な空域
航空法により、空港周辺、150m以上の上空、人口集中地区(DID)などでの飛行は、原則として国土交通大臣の許可・承認が必要です。知らずに飛ばしてしまうと罰則の対象となるため、必ず飛行前には国土交通省の提供する地図で飛行エリアが該当しないか確認しましょう。 - プログラム暴走を防ぐ
「フェイルセーフ」: プログラムのバグや操縦装置とiの通信ロストが発生した際、ドローンが制御不能になって墜落・衝突・ロスト(行方不明)する危険性があります。そのため、「もし異常が起きたら、その場で着陸する」「通信が途切れたら、離陸地点に自動で戻る」といった、最悪の事態を避けるための処理(フェイルセーフ)をプログラムに組み込む考え方が非常に重要です。
楽しむためにも、仕事で使うためにも、安全と法律の遵守が大前提です。
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2. 【レベル別】ドローンプログラミングで使われる主要言語と特徴

どの言語を学ぶべきか?これは多くの人が最初に悩むポイントです。あなたの現在のスキルレベルと、将来の目標に合わせて最適な言語を選びましょう。
2-1. 【教育・入門向け】まずはここから
プログラミングの経験が全くない方でも、視覚的に、そして楽しみながら基本を学べる言語があります。
- Scratch(スクラッチ): マサチューセッツ工科大学(MIT)が開発したビジュアルプログラミング言語。「前に進む」「右に90度回る」といった命令が書かれたブロックを組み合わせるだけで、ドローンを制御できます。プログラムの基本的な構造(順次、分岐、反復)を学ぶのに最適です。
- Swift Playgrounds: Appleが提供するiPad向けの学習アプリ。美しいグラフィックとゲームのような対話形式で、本格的なプログラミング言語であるSwiftの基礎を学べます。一部のドローンはSwift Playgroundsに対応しており、楽しみながら実践的なスキルに繋げられます。
2-2. 【ホビー・実用向け】キャリアを見据えるならPythonが有力な選択肢
スキルアップやキャリア形成を本気で考えるなら、選ぶべき言語はPythonです。
- Python(パイソン):
- なぜPythonなのか?: 文法がシンプルで読みやすく、初心者でも習得しやすいのが特徴です。それでいて、Web開発から機械学習、データサイエンスまで幅広い分野で使われているため、汎用性が非常に高い言語です。
- 豊富なライブラリ: ドローンプログラミングにおいてPythonが主流である最大の理由は、便利な機能をまとめた「ライブラリ」が豊富な点にあります。
- DJITelloPy (旧 Tello-Python): 人気のトイドローン「Tello」※1を簡単に操作するためのライブラリ。数行のコードで離陸、着陸、写真撮影などが可能です。
- DroneKit: より高度な自律航行制御を実現するためのフレームワーク。GPSを使ったウェイポイント飛行など、本格的なミッションを作成できます。
- OpenCV: 画像認識・処理のためのライブラリ。ドローンが撮影している映像をリアルタイムで解析し、「特定の色の物体を追跡する」「QRコードを読み取って動作を変える」といった高度な機能を実現できます。
- 将来性: AI・機械学習分野との親和性が非常に高いため、ドローンで収集したデータをAIで分析・活用するような、将来性の高い技術領域に直接繋がっています。
2-3. 【専門・開発者向け】ハードウェアの核心に迫る
より深く、ハードウェアに近いレベルでドローンを制御したい、あるいはドローンそのものを開発したいという方向けの言語です。
- C++/C: フライトコントローラー(ドローンの頭脳にあたる基盤)のファームウェア開発など、処理速度が厳しく求められる場面で使われます。組み込みシステムの開発経験がある方には馴染みやすいでしょう。DJIが提供するOnboard SDKなど、高度な開発キットではC++が主に使用されます。
- JavaScript: Web技術との連携に強く、Node.jsなどを使えばサーバーサイドでドローンを制御することも可能です。Webアプリケーションと連携したドローンサービスを開発する際に選択肢となります。
3. 初心者でも安心!ドローンプログラミング学習の始め方

「よし、Pythonを学んでみよう!」と決めたあなたへ。ここからは、具体的な学習のステップを解説します。
3-1. ステップ1:まずはプログラミング対応ドローンを手に入れよう
何よりもまず、プログラムで動かせるドローンが必要です。最初の一台として、多くの専門家が推奨するのがRyze社の「Tello EDU」※2です。
- なぜTello EDUなのか?:
- 価格: 1万円台と、プログラミング対応ドローンとしては非常に手頃です。
- 対応言語の広さ: Scratch, Python, Swiftに対応しており、入門から本格的なプログラミングへのステップアップを1台でカバーできます。
- 安全性: 軽量で室内飛行も可能なため、安全に実験を繰り返せます。
- 情報量の多さ: 世界中のユーザーがTelloを使ったプログラミングの情報をWeb上で公開しているため、学習中に困ったときも解決策を見つけやすいです。
3-2. ステップ2:開発環境を構築する
PythonでTelloを動かすための準備をしましょう。必要なものはPCとTelloだけです。
- Pythonのインストール: PCにPythonの実行環境をインストールします。
- ライブラリのインストール: コマンドプロンプトやターミナルで「pip install djitellopy」を実行し、Telloを操作するためのライブラリをインストールします。
- PCとTelloをWi-Fi接続: Telloの電源を入れると、Tello自身のWi-Fiアクセスポイントが起動します。PCのWi-Fi設定で、このアクセスポイントに接続します。
これだけで準備は完了です。
3-3. ステップ3:簡単なプログラムで飛ばしてみよう
いよいよコーディングです。テキストエディタを開き、以下の簡単なコードを書いてみましょう。
from djitellopy import Tello
# Telloオブジェクトを作成
tello = Tello()
# Telloに接続
tello.connect()
# 離陸
tello.takeoff()
# 前に50cm進む
tello.move_forward(50)
# 右に90度回転
tello.rotate_clockwise(90)
# 着陸
tello.land()
この数行のコードを実行するだけで、Telloは自動で離陸し、前進、回転して着陸します。自分の書いたコードで初めてドローンが動く様子は、貴重な体験となるでしょう。
4. あなたに合う学習法は?独学とスクールのメリット・デメリット

基本的な動かし方がわかったら、次なるステップは学習方法の選択です。あなたのライフスタイルや目標に合わせて、最適な道を選びましょう。
4-1. 独学の道:低コストで自由な探求
- メリット:
- 低コスト: 書籍やオンライン教材を利用すれば、費用を最小限に抑えられます。
- 自由なペース: 仕事や学業の合間に、自分の好きなタイミングで学習を進められます。
- 問題解決能力の向上: エラーや疑問点を自力で調べて解決する過程で、実践的なスキルが身につきます。
- デメリット:
- 挫折しやすい: 行き詰まった時に相談できる相手がおらず、モチベーションの維持が難しい場合があります。
- 体系的な知識の欠如: 情報が断片的になりがちで、知識に偏りや漏れが生じる可能性があります。
- 安全管理の難しさ: ドローンを飛ばす上での法律や安全に関する知識が不足するリスクがあります。
4-2. ドローンスクールの道:効率的にプロの技術を学ぶ
- メリット:
- 体系的なカリキュラム: 初心者からプロレベルまで、効率的にスキルを習得できるよう設計されたカリキュラムで学べます。
- 専門家による直接指導: 現場経験豊富な講師から、実践的なノウハウや最新の業界動向を直接学べます。質問すればすぐに的確な答えが返ってくる環境は、上達への近道です。
- 安全な飛行環境と法規制の知識: 整備された環境で安全に飛行訓練ができるだけでなく、複雑な航空法に関する知識もしっかりと身につけられます。
- 資格取得: ドローンの国家資格や、より専門的な技能を証明する資格の取得を目指せます。これは、キャリアアップにおいて大きな武器となります。
- デメリット:
- コスト: 独学に比べて受講料がかかります。しかし、これは将来への投資と考えることができます。
もしあなたが、「最短距離で実践的なスキルを身につけ、仕事に活かしたい」「国家資格を取得して、自分のキャリアを確かなものにしたい」と強く願うのであれば、ドローンスクールは非常に有効な選択肢です。
国家資格を目指し、法規制の知識から実践的な操縦技術まで体系的に学びたいなら、「国家資格コース」がおすすめです。
測量や点検など、特定の分野に特化した高度なプログラミング技術と運用ノウハウを習得したい方には、「民間資格コース」がおすすめです。
まとめ
ドローンプログラミングは、あなたの知的好奇心を満たすだけでなく、キャリアの新たな扉を開く鍵です。Pythonという強力なツールを手に、まずはTelloで第一歩を踏み出してみませんか。
ドローンマスターズスクールの詳細
■ドローンマスターズスクールの特徴や国家資格制度について、さらに詳しく知りたい方は当スクールの「無料説明会(ドローンセミナー)」に是非ご参加下さい!
ドローンマスターズスクール一覧
DMS茨城つくば校
DMS茨城笠間校
DMS埼玉浦和校
DMS栃木宇都宮校
DMS東京足立校
DMS千葉野田校(農薬散布ドローン専門)
DMS東京秋葉原校
参照・引用元一覧
- DJI公式SDK「Tello-Python」を試そう - https://qiita.com/hsgucci/items/3327cc29ddf10a321f3c - 技術コミュニティQiita上の、TelloをPythonで動かすための具体的な手順が示された記事です。
- Tello EDU 公式ウェブサイト - https://www.ryzerobotics.com/jp/tello-edu - プログラミング学習用ドローン「Tello EDU」の公式製品情報です









