ドローン測量とは?メリット・デメリットから活用事例まで徹底解説

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ドローン技術の急速な進化により、従来の測量方法に革命が起きています。
空から正確なデータを収集できるドローン測量は、建設、農業、災害対応など様々な分野で活用され、作業効率と安全性を大幅に向上させています。

本記事では、ドローン測量の基礎から応用、そして専門家になるための道筋まで解説します。



目次

1.ドローン測量の基礎知識

2.ドローン測量のメリット・デメリット

2-1.メリット

2-2.デメリット

3.ドローン測量の応用分野

3-1.建設・土木分野

3-2.農業・林業分野

3-3.災害対応・防災分野

3-4.インフラ点検・維持管理

4.ドローン測量技術の詳細解説

4-1.写真測量の原理とSfM処理

4-2.レーザー測量(LiDAR)の特徴

4-3.最新技術動向(RTK/PPK測位、AI活用)

5.ドローン測量の導入と実践

5-1.自社導入vs外注の判断基準

5-2.機材選定のポイント

5-3.データ処理・活用のワークフロー

6.プロフェッショナルへの道:ドローンマスターズスクールの紹介

7.まとめ

1.ドローン測量の基礎知識

ドローン測量とは、無人航空機(UAV)を使用して上空から対象地域の画像やデータを取得し、測量や地形分析を行う技術です。従来の地上測量と比較して、作業時間の短縮、広範囲の効率的なデータ収集、危険地域での安全な作業が可能になります。

ドローン測量には主に2つの種類があります。

1つ目は「写真測量」で、高解像度カメラで撮影した複数の画像から3Dモデルを生成します。
2つ目は「レーザー測量」で、レーザースキャナを使用して地表の詳細な点群データを取得します。

写真測量は、比較的低コストで導入でき、地表の色や質感も含めた視覚的な情報を得られる特徴があります。
一方、レーザー測量は、植生が密集した場所でも地表面のデータを取得でき、夜間や悪天候でも測量が可能という利点があります。

測量の基本的なプロセスは、まず飛行計画を作成し、ドローンを自動または手動で飛行させながらデータを収集します。
その後、専用ソフトウェアでデータ処理を行い、正確な3Dモデルや地形図、オルソ画像(歪みを補正した航空写真)などを生成します。


2.ドローン測量のメリット・デメリット

ドローン測量のメリット・デメリット

2-1.メリット

まず大きなメリットは作業効率の飛躍的な向上です。従来の測量では数日から数週間かかっていた作業が、ドローン測量ではわずか数時間で完了することも珍しくありません。例えば、10ヘクタールの土地測量が従来の方法では3日間必要だったところ、ドローン測量では半日で終わらせることが可能です。

次に精度と安全性の向上が挙げられます。高性能なRTK(リアルタイムキネマティック)GNSSを搭載したドローンでは、数センチメートルの高精度測位が実現できます。
また、崖や急斜面、災害現場など人が立ち入るのが危険な場所でも、安全に距離を置いてデータ収集が可能です。

さらに、データの多様性と再利用性も重要なメリットです。一度のフライトで収集したデータから、3Dモデル、等高線図、傾斜分析など様々な情報を抽出できます。
また、時系列での比較も容易なため、工事の進捗管理や経年変化の分析にも活用できます。

2-2.デメリット

一方で、いくつかの課題も存在します。まず気象条件による制約があり、強風や雨天時には飛行が困難です。特に精密な測量が必要な場合、理想的な気象条件を待つ必要があるでしょう。

次に、植生が密集している場所では写真測量の精度が低下します。樹木や草が地表を覆っている場合、写真測量では地表面のデータを取得できないため、このような場合はより高コストなレーザー測量が必要になります。

技術的な壁としては、バッテリー持続時間の制約があります。一般的なドローンの飛行時間は20〜30分程度で、広大な区域を測量する場合は複数回のフライトとバッテリー交換が必要です。

初期導入コストも無視できません。高精度な測量用ドローン、解析ソフトウェア、操縦者の訓練など、すべてを揃えるには数百万円の投資が必要になることがあります。導入前には費用対効果を十分に検討する必要があるでしょう。

3.ドローン測量の応用分野

3-1.建設・土木分野

建設現場でのドローン測量は、i-Construction(アイ・コンストラクション)の中核技術として急速に普及しています。工事前の現況測量から、日々の進捗管理、完成後の出来形計測まで、あらゆるフェーズで活用されています。土量計算も驚くほど効率化され、従来は数日かかっていた作業がわずか数時間で完了します。

3-2.農業・林業分野

農業分野では、ドローン測量により作物の生育状況をセンチメートル単位で把握できるようになりました。近赤外線カメラを搭載したドローンでは、人間の目では見えない作物のストレスや病気の兆候を早期に発見できます。

林業では、従来アクセスが困難だった森林エリアの調査が可能になり、樹高測定や材積量推定、森林健全性の評価などが効率的に行えるようになりました。特にレーザー測量技術の進化により、樹冠の下にある地表面のデータも取得できるようになり、詳細な森林管理が実現しています。

3-3.災害対応・防災分野

災害発生時、迅速な状況把握は救助活動や二次災害防止の鍵となります。ドローン測量はその強力なツールとして、土砂崩れや洪水被害のマッピング、被災範囲の特定に活用されています。

さらに防災計画においても、ハザードマップの作成や避難経路の確認、インフラの脆弱性評価などにドローン測量データが活用されています。「災害対応の常識が変わった」と語る自治体防災担当者もいます。

3-4.ンフラ点検・維持管理

橋梁、ダム、送電線、道路など、高所や危険箇所が多いインフラ点検にもドローン測量が威力を発揮します。従来は足場を組んだり特殊車両を使用したりする必要があった点検作業が、安全かつ効率的に実施できるようになりました。

特に高解像度カメラやサーモグラフィーカメラを搭載したドローンでは、ひび割れや剥離、熱異常などを詳細に記録できます。定期的な点検データを蓄積することで、予防保全型の維持管理も可能になっています。

4.ドローン測量技術の詳細解説

4-1.写真測量の原理とSfM処理

写真測量の中核技術となるSfM(Structure from Motion)は、異なる角度から撮影された複数の画像から対象物の3D構造を復元する技術です。ドローンが対象地域上を飛行しながら80%程度のオーバーラップ(重複)を持たせて撮影した画像群から、コンピュータが共通点を自動検出し、カメラの位置関係と対象物の3D形状を同時に計算します。

この処理では、画像間の特徴点マッチングを行った後、バンドル調整と呼ばれる最適化計算を実行し、カメラ位置と地形の3Dポイントクラウド(点群)を生成します。さらに、MVS(Multi-View Stereo)処理により点群を高密度化し、メッシュモデルやDSM(数値表層モデル)を作成します。

4-2.レーザー測量(LiDAR)の特徴

レーザー測量は、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサーを使用して地表までの距離を測定する技術です。レーザーパルスを発射し、反射波が戻ってくる時間から距離を計算する原理で、1秒間に数十万から数百万点ものデータを取得できます。

最新のドローン搭載LiDARシステムでは、植生下の地表面データ取得が可能で、これは写真測量では困難な能力です。また、夜間や薄暮時でも計測できるため、作業時間の制約が少ないという利点もあります。

4-3.最新技術動向(RTK/PPK測位、AI活用)

測位精度を高めるRTK(Real Time Kinematic)技術では、基準局からの補正データをリアルタイムで受信し、数センチメートルの高精度測位を実現します。一方、PPK(Post-Processed Kinematic)は、飛行後にデータを補正処理する方式で、通信が不安定な環境でも高精度測位が可能です。

「RTKは都市部など通信環境が良好な場所で威力を発揮しますが、山間部などでは電波状況が不安定なため、PPKの方が安定した結果が得られることもあります」と測量専門家は説明します。

AIを活用したデータ処理も進化しています。
機械学習アルゴリズムにより、地形特徴の自動認識、建物や樹木などの自動分類、ノイズ除去の効率化が進んでいます。

例えば、点群データから地面、建物、植生を自動分離する技術は、データ処理時間を大幅に短縮します。

5.ドローン測量の導入と実践

ドローン測量_自社導入VS外注

5-1.自社導入vs外注の判断基準

自社導入と外注のどちらが適しているかは、測量頻度、予算、必要な精度、社内リソースなどを総合的に判断する必要があります。

測量業務が月に数回以上あり、長期的な活用を考えている場合は自社導入が有利です。初期投資は必要ですが、外注コストの累積と比較すると、ある時点で逆転が起こります。

一方、測量頻度が少ない場合や特殊な高精度測量が必要な場合は外注が合理的です。専門業者は最新の高性能機材と豊富な経験を持っており、高品質な成果物を提供できます。

5-2.機材選定のポイント

機材選定では、用途に応じた適切な機体とセンサーの組み合わせが重要です。一般的な写真測量であれば、DJI Phantom 4 RTKやMatrice 300 RTKなどの中型機が人気です。より高精度を求める場合や広範囲の測量には、固定翼ドローンも検討の価値があります。

センサー選定も重要なポイントです。写真測量用のRGBカメラは20メガピクセル以上、レーザー測量用のLiDARは用途に応じた適切な性能(測定距離、精度、スキャン速度など)を選ぶ必要があります。

導入時には将来の拡張性も考慮することをお勧めします。最初は基本的な写真測量から始めて、ニーズに応じてマルチスペクトルカメラやLiDARなどを追加していく段階的アプローチが現実的でしょう。

5-3.データ処理・活用のワークフロー

効率的なワークフローの構築も成功の鍵です。
一般的なフローは、
1.計画立案
2.現場での測量実施
3.データの前処理
4.本処理(3Dモデル生成など)
5.成果物の作成・活用
となります。

処理ソフトウェアの選択も重要で、Pix4D、Agisoft MetashapeなどのSfM専用ソフトから、AutoCAD、ArcGISなどの業界標準CAD/GISソフトまで、目的に応じた適切なツールを選びましょう。

6.プロフェッショナルへの道:ドローンマスターズスクールの紹介

ドローン測量のプロフェッショナルを目指すなら、専門的な知識と技術の習得が不可欠です。ドローンマスターズスクールは、全国に展開する実践的なドローン教育施設で、初心者からプロまで幅広いニーズに対応しています。

スクールの特徴は、実践重視のカリキュラムと充実した実習環境にあります。業界経験豊富なインストラクターが、機体操作の基本から測量技術、データ処理まで体系的に指導します。関東を中心に全国10校のネットワークを持ち、国土交通省認定の各種資格取得をサポートしています。

ドローンマスターズスクールの「完全アフターフォロー制度」では、卒業後も技術向上のための練習場所を提供し、最新技術や法規制の情報共有など、継続的なサポートを受けられます。

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7.まとめ

ドローン測量は、効率性・安全性・精度の向上により、測量の常識を変えつつあります。
初期導入のハードルはありますが、適切な知識と技術を身につければ、様々な分野で大きな付加価値を生み出せるでしょう。

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ドローンマスターズスクール一覧

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この記事を書いた人

中山 慶一 中山 慶一

ドローンマスターズスクール運営元 株式会社モビリティテクノ ドローン事業部統括部長 2017年からドローン業務に従事し外注案件及び新規スクールの開校を手掛けています。