「ドローンを始めてみたいけど、手続きが面倒そう…」。あなたもそう感じていませんか?
そんな方に注目されているのが「100g未満のドローン」です。
登録不要で手軽な一方、知らずにルールを破ると思わぬトラブルも。
この記事でメリット・デメリットと法律を正しく理解し、安全で楽しいドローンライフの第一歩を踏み出しましょう。
1. 【購入前に知るべき】100g未満ドローンのメリット・デメリット
ドローンに興味を持った時、まず候補に挙がるのが100g未満のモデルかもしれません。その手軽さは大きな魅力ですが、一方で「こんなはずじゃなかった」となりがちな弱点も存在します。購入してから後悔しないために、良い面と悪い面の両方をしっかりと見ていきましょう。
1-1. メリット:なぜ初心者に選ばれるのか?
100g未満のドローンが「入門機」として人気なのには、明確な理由があります。
- 航空法上の機体登録が不要
これが大きなメリットの一つです。2022年6月20日から、100g以上のドローンは国への機体登録が義務化※1されました。しかし、100g未満の機体は「模型航空機」に分類されるため、この登録手続きが不要です。面倒な申請なしに、購入後すぐに飛ばせる手軽さは、初心者にとって魅力的です。 - 価格が手頃
多くのモデルが数千円から2万円程度の価格帯で購入できます。万が一、操作ミスで墜落・破損させてしまっても、精神的・金銭的なダメージが少ないため、思い切った操縦練習ができます。 - 持ち運びが容易
機体は非常にコンパクトで軽量。カバンの隅にポンと入れて、旅行やアウトドアに気軽に持っていける携帯性の高さも強みです。飛ばしたいと思った時に、すぐに取り出せるフットワークの軽さは、ドローンを飛ばす楽しさを継続させてくれます。 - 墜落時のリスクが低い
機体が軽いため、万が一墜落した際に人や物に与える損害が比較的小さく済みます。もちろん、安全への配慮は不可欠ですが、心理的なプレッシャーが少ない状態で飛ばせるのは大きな利点です。 - 室内での練習に最適
屋外での飛行には様々な制約がありますが、自宅のリビングなどであれば、天候や法律を気にすることなく操縦練習に集中できます。特にドローン操作の基本であるホバリング(空中での静止)や、前後左右への移動といった基礎技術を磨くのに最適です。
1-2. デメリット:購入前に知っておきたい注意点
手軽さの裏返しとして、性能面での妥協が必要な部分もあります。ここを理解しておくことが、購入後の満足度を大きく左右します。
- 風に弱く不安定
これは100g未満ドローンの大きな弱点の一つと言えるでしょう。機体が軽すぎるため、屋外では少しの風でも簡単に流されてしまいます。現場での経験から言えば、風速2〜3m/sでも安定した飛行は難しく、意図しない方向へ飛んでいってしまうことも。空撮はおろか、安定した飛行を楽しむことさえ難しい場面が多々あります。 - 飛行時間が短い
搭載できるバッテリーが小さいため、1回あたりの飛行時間は5〜10分程度のモデルがほとんどです。「さあ、これから」という時にバッテリー切れ、というのはよくある話。楽しむためには、予備のバッテリーを複数用意することが推奨されます。 - カメラ性能が限定的
「ドローンで絶景を撮りたい!」という憧れを持っている方も多いでしょう。しかし、100g未満のドローンに搭載されているカメラは、画質が粗かったり、手ブレ補正機能がなかったりすることがほとんどです。記録用の映像としては使えますが、作品レベルの美しい空撮を期待すると、がっかりしてしまう可能性が高いです。 - 高度な安全機能が少ない
高価なドローンには標準装備されている障害物センサーや、GPSによる自動帰還機能などが搭載されていないモデルがほとんどです。すべて自分の操作で危険を回避する必要があるため、操縦スキルが未熟なうちは壁や木に衝突させてしまうリスクが高まります。
2. 【最重要】100g未満でも遵守必須!ドローンの法律・ルール総まとめ
「100g未満は登録不要だから、どこでも自由に飛ばせる!」これは、最も危険な誤解です。確かに航空法の一部のルールは適用されませんが、他の法律や条例による規制は、ドローンの重さに関係なく適用されます。知らなかったでは済まされない、重要なルールを一緒に確認していきましょう。
2-1. 小型無人機等飛行禁止法:すべてのドローンが対象
この法律は、ドローンの重さに関わらずすべてのドローンに適用される重要な法律です。国の重要施設とその周辺約300mの上空での飛行を原則禁止しています。※2
- 空港
- 原子力事業所
- 皇居
- 霞が関の諸官庁
- 国会
- 政党本部
- 米軍基地etc…
これらの場所で無断でドローンを飛行させると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。旅行先などで安易に飛ばすことは決して行わないでください。
2-2. 航空法:適用されるルール、されないルール
ここが少し複雑なポイントです。100g未満のドローンは航空法上の「無人航空機」ではなく「模型航空機」に分類されるため、下表のように適用されるルールが異なります。
規制項目 |
100g以上のドローン(無人航空機) |
100g未満のドローン(模型航空機) |
機体登録 |
義務 |
不要 |
人口集中地区での飛行 |
原則禁止(許可・承認が必要) |
規制対象外 |
夜間飛行 |
原則禁止(許可・承認が必要) |
規制対象外 |
目視外飛行 |
原則禁止(許可・承認が必要) |
規制対象外 |
空港周辺での飛行 |
原則禁止 |
原則禁止 |
150m以上の高度での飛行 |
原則禁止 |
原則禁止 |
表の通り、100g未満の機体は人口集中地区や夜間飛行といった主要な規制の対象外となります。 ただし、重さに関わらず、以下のルールは遵守しなければなりません。
- 空港周辺での飛行禁止: 空港周辺の一定の空域では、重さに関わらず飛行が制限されます。
- 地表・水面から150m以上の高さでの飛行禁止: 非常に高い高度での飛行は、航空機の航行に影響を与える可能性があるため規制されています。
「航空法の多くのルールが適用されない」というのは事実ですが、だからといって安全を無視して良いわけではありません。特に、人の多い場所での飛行や夜間飛行は、たとえ法律で直接禁止されていなくても、事故のリスクが高いため避けるべきです。
2-3. その他の法律・条例:見落としがちな規制
ドローン飛行に関わるのは、上記の2つの法律だけではありません。
- 民法: 他人の土地の上空を無断で飛行させることは、土地の所有権を侵害する行為にあたる可能性があります。プライバシーの侵害にもつながるため、他人の私有地の上空は飛ばさないようにしましょう。
- 電波法: 日本国内で電波を発する機器は、「技術基準適合証明(技適)」を受けたものでなければなりません。海外製の安価なドローンの中には、この「技適マーク」がない製品も紛れています。技適マークのないドローンを使用すると電波法違反となり、罰則の対象となる可能性があるため、購入時には確認することが重要です。※3
- 都道府県・市町村の条例: 地域の公園や公共施設などでは、条例によってドローンの飛行が全面的に禁止されているケースが多いです。飛行させたい場所がある場合は、その場所を管理する自治体や管理事務所に事前に問い合わせるようにしましょう。
3. 【補足】後悔しない!100g未満ドローンの選び方3つのポイント
メリット・デメリットと法律を理解した上で、いよいよ機体選びです。ここでは、数ある製品の中から自分に合った一台を見つけるための、シンプルな3つの視点をご紹介します。
3-1. ポイント1:何を楽しみたいかで選ぶ
あなたがドローンで一番やりたいことは何ですか?目的によって、重視すべき性能は大きく変わります。
- 操縦そのものを楽しみたい: 飛行安定性やスピードを重視しましょう。多少風があっても姿勢を保てる、パワフルなモーターを搭載したモデルがおすすめです。
- 気軽に空撮を体験したい: 少しでもカメラの画質が良いモデルを選びましょう。「720p」よりは「1080p(フルHD)」、さらに欲を言えば「2K」対応のモデルを探すと、後々の満足度が高まります。
- 子供と一緒に遊びたい: 安全性が最優先です。プロペラ全体を覆う「プロペラガード」が付属しているか、頑丈な設計になっているかを確認しましょう。
3-2. ポイント2:安全機能の有無で選ぶ
初心者にとって、操作を補助してくれる機能は心強い味方です。
- プロペラガード: 必須とも言える安全装備です。人や物に接触した際のダメージを軽減し、プロペラ自体の破損も防いでくれます。
- ワンキー離陸/着陸: ボタン一つで安定して離着陸できる機能です。離着陸は意外と操作が難しく、初心者が最も失敗しやすいポイントなので、この機能があると安心感が格段に増します。
- ヘッドレスモード: 機体の向きに関わらず、操縦者から見た方向へ直感的に操作できるモードです。ドローンの向きがわからなくなってパニックに陥るのを防いでくれます。
3-3. ポイント3:バッテリーの数で選ぶ
前述の通り、100g未満ドローンの飛行時間は短いです。これを補うためには、予備バッテリーが欠かせません。
- 付属バッテリーの数: 最初からバッテリーが2〜3個付属しているセット品は、コストパフォーマンスが高くおすすめです。
- 追加購入のしやすさ: 純正バッテリーがオンラインストアなどで簡単に追加購入できるかも重要なチェックポイントです。
4. もっとドローンを使いこなしたいあなたへ【次のステップ】
100g未満のドローンは、ドローンの楽しさと難しさの両方を体験できる、素晴らしいトレーニングツールです。もし、あなたがこの小さな機体での飛行を通じて、「もっと安定した飛行がしたい」「もっと綺麗な映像を撮りたい」「ドローンを仕事に活かせないか?」と感じ始めたなら、それは次のステップへ進むサインです。
より本格的な空撮や、点検・測量といったビジネスの現場では、GPSや高性能センサーを搭載した100g以上のドローンが活躍しています。そして、それらの機体を安全かつ合法的に飛行させるためには、法律や操縦技術に関するより深い知識と技術が不可欠です。
本格的な空撮や仕事での活用を目指すなら、国家資格の取得が有利です。ドローンスクールで体系的に学んでみませんか?
卒業後も無料で操縦訓練が受けられる、手厚いサポートのあるスクールもあります。
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まとめ
100g未満のドローンは、登録不要という手軽さが魅力ですが、風に弱いなどのデメリットや、重さに関わらず適用される法律も存在します。本記事で解説したメリット・デメリットとルールを正しく理解することが、安全なドローンデビューの鍵です。この小さな機体は、広大なドローンの世界への良い入り口となるでしょう。
ドローンマスターズスクールの詳細
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参照・引用元一覧
- 国土交通省 無人航空機登録ポータルサイト
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_ua_registration.html -100g以上のドローンの登録義務に関する公式情報。 - 警察庁Webサイト「小型無人機等飛行禁止法関係」
https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/index.html - ドローンの重さに関わらず適用される飛行禁止エリアに関する公式情報。 - 総務省 電波利用ホームページ「ドローン等に用いられる無線設備について」
https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/drone/ - 技適マークと電波法に関する公式情報。