ドローンの「目視外飛行」とは?許可申請の条件やレベル4飛行、必要な国家資格を解説

国家資格 点検 DIPS 物流 警備 航空法

ドローンの目視外飛行とは、操縦者が肉眼で機体を確認せずに飛行させることを指し、航空法上の「特定飛行」に該当するため、原則、国への許可・承認が必要です(国家資格と機体認証の組み合わせにより手続きが免除・省略される場合があります)。本記事では、目視外飛行の定義、レベル3・4飛行の違い、許可申請の条件、手続きを簡略化する国家資格制度について解説します。

この記事でわかること

  • 目視外飛行の航空法における正確な定義と、自社の業務が規制対象(特定飛行)となるかの判断基準
  • DIPS2.0を活用した許可承認の申請手順と、国家資格による手続きの簡略化・免除の仕組み
  • 実業務への導入を安全に行うための、実技訓練のポイントと社内運用体制の構築方法

目次

1. ドローンの「目視外飛行」とは?定義と該当するケース

1-1. 目視外飛行の正確な定義

1-2. 判断に迷う「目視外飛行」に該当するケース・しないケース

1-3. 無許可飛行時の罰則とコンプライアンスリスク

2. 目視外飛行が関わる「4つの飛行レベル」と今後の展望

2-1. レベル1〜レベル4の定義と違い

2-2. ビジネス領域(点検・物流・警備)における目視外飛行の重要性

3. 目視外飛行の許可承認を得る条件と申請手順

3-1. 許可承認に必要な3つの条件(機体・操縦者・安全体制)

3-2. DIPS2.0を活用した具体的な申請手順とマニュアル

3-3. 国家資格(一等・二等)と機体認証による手続きの簡略化・免除

4. 目視外飛行を安全に行うための現場要件とスキル

4-1. 必須となる安全確保体制(補助者の配置・立入管理措置)

4-2. モニター操縦に潜むリスクと実技訓練のポイント

4-3. 運用上の義務(飛行日誌の作成・保管)と継続的サポートの重要性

5. 法人向け:業務への目視外飛行導入ステップ

5-1. 導入に向けた業務フローと社内運用体制の構築

5-2. 社員教育と国家資格の計画的な取得

まとめ

参照・引用元一覧

1. ドローンの「目視外飛行」とは?定義と該当するケース

目視外飛行の法的な定義と、該当・非該当の具体的なケースを整理します。

1-1. 目視外飛行の正確な定義

航空法に基づくルールにおいて、「目視」とは、操縦者自身が自分の目(肉眼)で直接ドローンの機体およびその周囲の安全を確認できる状態を指します。これに対して「目視外飛行」とは、操縦者が肉眼で機体や周囲の状況を直接確認せずに飛行させることを意味します。

機体に搭載されたカメラの映像を、手元のモニターやスマートフォン、あるいはFPV(First Person View)ゴーグルを通じて見ながら操縦する場合、画面上で機体の状況を明確に確認できる場合でも、「目視外飛行」として扱われます。また、双眼鏡や望遠鏡を用いて機体を確認しながら操縦する場合も、視野が限定され周囲の安全確認が不十分になるため、肉眼での目視には該当せず目視外飛行とみなされます。

目視外飛行は、操縦者の視界を超えた広範囲での作業を可能にする一方、周囲の障害物や他の航空機、第三者との接触リスクが高まるため、航空法において「特定飛行」の一つとして厳しく規制されています。

1-2. 判断に迷う「目視外飛行」に該当するケース・しないケース

業務や訓練で判断に迷いやすいケースを、該当・非該当に分けて整理します。

目視外飛行に該当するケース

  • 手元の送信機(プロポ)のモニター画面のみを見て操縦している場合
  • FPVゴーグルを装着し、没入感のある映像を見ながら飛行させる場合
  • 双眼鏡や望遠鏡を使って遠くの機体を追っている場合
  • 建物の裏側や山林の中など、物理的な障害物によって機体が直接見えなくなった状態で操縦を継続している場合
  • 自律飛行プログラムを設定し、操縦者が機体から目を離している場合

点検作業で建物の裏側に機体を回り込ませる場合も目視外飛行に該当します。無許可で飛行させると航空法違反となるため、事前に許可・承認の要否を確認してください※1

目視外飛行に該当しない(目視内飛行となる)ケース

  • 眼鏡やコンタクトレンズを着用して、肉眼で機体と周囲の安全を確認しながら操縦している場合(視力矯正器具は肉眼と同等とみなされます)
  • 機体を肉眼で確認しながら、時折モニターでカメラの画角や撮影設定を短時間確認する場合(安全確認の主体が肉眼であること)

1-3. 無許可飛行時の罰則とコンプライアンスリスク

特定飛行に該当する目視外飛行を、国土交通大臣の許可・承認を得ずに行った場合、航空法違反として50万円以下の罰金が科される可能性があります(飛行方法違反の場合)。企業としてドローンを運用する場合、コンプライアンス違反は社会的信用を損なう恐れがあります。あらかじめ自身の業務内容が目視外飛行に該当するかどうかを正確に把握しておくことが重要です。

2. 目視外飛行が関わる「4つの飛行レベル」と今後の展望

目視外飛行を理解するには、「飛行レベル」の概念が重要です。官民協議会(小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会)はドローンの社会実装を推進するため、飛行形態をその難易度やリスクに応じて4つのレベルに分類しています。

2-1. レベル1〜レベル4の定義と違い

飛行レベルは、操縦方法(目視内か目視外か)と、飛行場所(無人地帯か有人地帯か)の組み合わせによって定義されます。

レベル1:目視内での操縦飛行
操縦者が直接機体を見ながら、手動で操縦する最も基本的な飛行形態です。空撮や、機体を肉眼で確認できる範囲内での点検作業など、多くの一般的なドローン業務がこれに該当します。

レベル2:目視内での自律飛行
あらかじめ設定したルートに沿って、ドローンが自動で飛行する形態です。操縦者は機体を肉眼で監視し、危険があれば手動で介入できる状態を保ちます。農薬散布や土木測量など、一定範囲を効率的に飛行する業務で活用されています。

レベル3:無人地帯における目視外飛行
山林や海上、河川敷など、第三者が立ち入る可能性が低い「無人地帯」において、操縦者が機体を直接見ずに(モニターを用いて)飛行させる形態です。離島や山間部への物資輸送、長距離のインフラ設備点検が該当します。このレベルから、本格的な目視外飛行のスキルが求められます。

レベル4:有人地帯における目視外飛行
都市部や住宅街など、第三者の上空を含む「有人地帯」において、補助者なしで目視外飛行を行う最も高度な飛行形態です。2022年12月の航空法改正により、一定の条件(機体認証・技能証明・許可承認)を満たすことで解禁されました。

2-2. ビジネス領域(点検・物流・警備)における目視外飛行の重要性

レベル3・レベル4の目視外飛行が可能になることで、ドローンビジネスの適用範囲が広がります。目視内飛行では操縦者が機体を肉眼で確認できる範囲内に留まる必要があり、作業範囲に制約がありました。目視外飛行により、一拠点から遠隔地の複数機を制御できます。長距離の送電線やパイプラインの点検も一度の飛行で対応可能です。

物流分野においては、トラックドライバー不足への対策として、拠点・都市部から過疎地や離島へドローン配送のエリアを拡大する取り組みが進んでいます。警備分野でも、敷地内を自律飛行で巡回し、異常があればセンターのモニターで確認するといった運用が実現しつつあります。

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3. 目視外飛行の許可承認を得る条件と申請手順

目視外飛行は、第三者への危害リスクが高まるため、無条件で行えるわけではありません。ここでは、適法に目視外飛行を実施するための条件と、具体的な手続きについて解説します。

3-1. 許可承認に必要な3つの条件(機体・操縦者・安全体制)

目視外飛行の承認を得るためには、主に以下の要件を満たす必要があります。

  • 機体の安全性: 目視外飛行に耐えうる機能・性能(電波が途絶えた際の自動帰還など、フェールセーフ機能)を備えていること。
  • 操縦者の技能と経験: 目視外飛行の訓練を十分に行い、適切な操縦技術と知識を有していること。
  • 安全確保体制の構築: 飛行経路周辺の立入管理措置(第三者が立ち入らないようにする措置)や、補助者の配置など、安全を確保するための体制が整っていること。

3-2. DIPS2.0を活用した具体的な申請手順とマニュアル

これらの許可・承認申請は、国土交通省のオンラインシステム「DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)」を通じて行うことができます(書面による申請も可能です)。申請時には、操縦者の飛行経歴(目安として10時間以上)の証明や、使用する機体の仕様書、安全な飛行のためのマニュアルの提出が求められます。なお、飛行経歴の要件は飛行形態によって異なり、目視外飛行については別途その経験も求められます。

独自にマニュアルを作成することも可能ですが、国土交通省が提供する「航空局標準マニュアル」を自社の運用に合わせて活用することで、作成の手間を大幅に省けます。ただし、標準マニュアルを使用する場合は、そこに記載されている安全対策(風速制限や補助者の配置など)を厳密に遵守する必要があります。

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3-3. 国家資格(一等・二等)と機体認証による手続きの簡略化・免除

2022年12月にスタートした「無人航空機操縦士(国家資格)」制度を利用することで、手続きの負担を軽減できます。国家資格(一等または二等)を取得し、かつ機体認証(第一種または第二種)を受けたドローンを使用する場合、特定飛行の手続きが大幅に簡略化される、あるいは一部免除されます。

レベル3飛行の許可承認免除: 立入管理措置を講じた上で行うレベル3飛行(無人地帯での目視外飛行)であれば、二等無人航空機操縦士の資格と第二種機体認証の組み合わせにより、事前の許可承認手続きを省略(飛行の一部例外を除く)できます。これにより、天候や業務の都合に合わせて機動的にドローンを運用できます。

レベル4飛行の実施条件: 有人地帯での補助者なし目視外飛行、つまりレベル4飛行には、「一等無人航空機操縦士」の資格と「第一種機体認証」を受けた機体が法令上必須です。さらに、これらに加えて国土交通大臣の許可・承認を別途取得することも必要です。資格と機体認証の取得のみでは飛行できない点にご注意ください。

業務で目視外飛行を定常的に行う場合、都度の申請負担を軽減し、レベル4飛行への対応も可能にする国家資格の取得が有効です。

4. 目視外飛行を安全に行うための現場要件とスキル

国家資格の取得と許可承認の取得だけでは、現場での安全な目視外飛行は実現しません。実際の現場には、訓練環境とは異なるリスクがあります。

4-1. 必須となる安全確保体制(補助者の配置・立入管理措置)

目視外飛行を実施する上で最も重要なのが、第三者の安全を確保するための「立入管理措置」です。関係者以外の立ち入りを防ぐために、飛行エリアにコーンや看板を設置するだけでなく、必要に応じて補助者を配置します。補助者は、操縦者の代わりに周囲の安全を監視し、第三者の接近や急な天候の悪化を操縦者に伝達する重要な役割を担います。

4-2. モニター操縦に潜むリスクと実技訓練のポイント

目視外飛行における大きなリスクの一つは、「周囲の状況変化に気づきにくい」という点です。モニターに映っているのはカメラの画角という限られた情報のみであり、機体の真上や後方に障害物があったり、急に鳥が接近してきたりしても、操縦者は即座に認識できません。モニター映像だけを見ていると、機体と障害物との距離感が失われやすくなります。

また、機体と送信機間の電波が途絶(ロスト)した際のパニックによる誤操作も、目視外飛行特有の事故要因として報告されています。これらのリスクを最小限に抑えるためには、GPSなどの測位システムに依存しない手動での高度な操縦技術や、電波ロスト時のフェールセーフ機能(自動帰還など)の正しい理解が必要です。「モニターの映像から機体の姿勢や周囲との距離感を正確に把握する」という特殊な感覚を養う実践訓練が不可欠です。

4-3. 運用上の義務(飛行日誌の作成・保管)と継続的サポートの重要性

許可・承認を得て飛行を行う場合、飛行実績の定期報告義務は2021年4月1日に廃止されています。ただし、航空法第132条の89に基づく飛行日誌の作成・保管義務は引き続き存在します。飛行のたびに日誌を適切に記録・管理することが求められます。このようなコンプライアンス管理も含め、現場で安全な運用を継続していく必要があります。

資格取得後も継続的に操縦訓練を受けられる環境や、運用に関する相談ができるサポート体制を活用することで、現場での安全な運用につながります。

5. 法人向け:業務への目視外飛行導入ステップ

目視外飛行の導入には、機材の選定に加え、業務プロセスの構築と人材育成が必要です。

5-1. 導入に向けた業務フローと社内運用体制の構築

法人で目視外飛行を導入する場合、まずは現状の業務課題の洗い出しから始めます。「どの作業をドローンに置き換えるのか」「それは目視外飛行でなければ実現できないのか」「どのような機体やカメラが必要か」を明確にします。次に、社内の運用体制づくりです。操縦者だけでなく、安全管理者や補助者の役割分担を決め、社内マニュアルを策定します。

5-2. 社員教育と国家資格の計画的な取得

最も重要なのが人材育成です。目視外飛行という高度な運用を行う以上、担当社員には高い遵法意識と確かな操縦技術が求められます。単に数名をスクールに通わせるだけでなく、組織全体としてドローンの安全運用に関するリテラシーを高めることが、事故や法令違反を防ぐ鍵となります。複数社員の資格取得を計画的に進めるには、受講スケジュールやカリキュラムの内容を事前に比較検討することが重要です。

まとめ

ドローンの目視外飛行は、レベル3・4飛行の解禁により、企業の業務効率化に寄与する手段として注目されています。しかし、航空法の要件を満たし現場で安全に運用するためには、特定飛行に関する正しい知識と、特殊な環境下での継続的な実技訓練が不可欠です。

導入を検討する場合は、手続きの簡略化にもつながる国家資格の取得を計画に含めることが有効です。


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参照・引用元一覧

  1. 無人航空機の飛行ルール(国土交通省) - https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html - 航空法に基づくドローンの飛行ルールや特定飛行(目視外飛行を含む)の定義と許可承認に関する公式ガイドライン。
  2. レベル4飛行の実現に向けた新たな制度(国土交通省) - https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html - 2022年の航空法改正に伴う、有人地帯での目視外飛行(レベル4)解禁と国家資格制度に関する詳細資料。

この記事を書いた人

中山 慶一 中山 慶一

ドローンマスターズスクール運営元 株式会社モビリティテクノ ドローン事業部統括部長 2017年からドローン業務に従事し外注案件及び新規スクールの開校を手掛けています。