産業用ドローンを仕事で使うなら「二陸特」が必要?資格の概要から取得方法まで

国家資格 無線免許 二等無人航空機操縦士 航空法

5.7GHz帯を使用する産業用ドローンやFPVドローンを業務で運用するには、電波法に基づき「第三級陸上特殊無線技士(通称:三陸特)」以上の無線従事者資格が必要です。業務の拡張性を考慮して「第二級陸上特殊無線技士(通称:二陸特)」を取得する事業者も多く、本記事ではその理由と取得方法を解説します。

この記事でわかること

  • 5.7GHz帯の業務用ドローンに無線従事者資格が必要な理由と法的根拠
  • アマチュア無線との違いと、業務利用で資格を流用した場合の罰則リスク
  • 三陸特・二陸特の違いと選び方、実務で二陸特が選ばれる理由
  • 国家試験・養成課程それぞれの費用・期間・難易度の比較
  • 無線資格と合わせて必要なドローン操縦資格(航空法)の基礎知識

目次

1. なぜドローン操縦に無線従事者資格が必要なのか

1-1. 5.7GHz帯が業務用ドローンに使われる理由

1-2. 電波法における無線従事者資格の義務と運用ルール

1-3. 三陸特ではなく「二陸特」の取得が実務で選ばれる理由

2. 「アマチュア無線技士」との違いと業務利用の法的な注意点

2-1. 趣味目的と業務目的の明確な境界線

2-2. 資格の業務流用による電波法違反リスクと罰則

3. 第二級陸上特殊無線技士の難易度と取得ルート

3-1. 試験の難易度・合格率と必要な学習時間の目安

3-2. 国家試験ルートと養成課程ルートの選び方

3-3. 二陸特の免許に有効期限はない

4. 無線資格とあわせて取得すべきドローン操縦の国家資格

4-1. 電波法と航空法、両方の遵守がプロの必須条件

4-2. 国家資格と民間資格の違いとキャリアパスの選び方

5. ドローンスクール選びの重要ポイント:資格取得後のサポート体制

5-1. 資格取得後に直面する「技能維持・練習場所」の課題

5-2. アフターフォローが充実したスクールの選び方

まとめ

参照・引用元一覧

1. なぜドローン操縦に無線従事者資格が必要なのか

ドローンを業務で使用する場合、操縦技術に加えて、使用する周波数帯や機器の種類によっては、電波法に基づく無線従事者資格の取得が必要です。

1-1. 5.7GHz帯が業務用ドローンに使われる理由

一般的な市販ドローンは、Wi-FiやBluetoothと同じ「2.4GHz帯」の周波数を使用しています。この帯域は技適マーク付きの小電力機器であれば免許不要で利用できますが、Wi-FiやBluetooth、電子レンジなどと周波数を共有しているため、電波干渉(混信)が発生しやすい特性があります。その結果、映像の遅延や途切れが生じる場合があります。

橋梁のインフラ点検、精密測量、災害現場の状況確認といった業務では、大容量のデータを安定して送受信する必要があります。そこで活用されるのが「5.7GHz帯」をはじめとする業務用周波数帯です。5.7GHz帯は2.4GHz帯と比べて電波干渉が少なく、高解像度の映像をリアルタイムで伝送できます。ただし直進性が強く障害物に弱い、通信距離が短くなるといった特性もあるため、運用環境に応じた設計が必要です。

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1-2. 電波法における無線従事者資格の義務と運用ルール

5.7GHz帯の電波を使用するドローンを運用するには、電波法により無線従事者資格を持つ人員の配置が義務付けられています。免許が必要な周波数帯の機器は、不適切な運用により他の無線通信に干渉を与えるおそれがあるためです。法令上、5.7GHz帯の画像伝送用無線局を運用する場合は「第三級陸上特殊無線技士(三陸特)」以上の資格が求められます※1

1-3. 三陸特ではなく「二陸特」の取得が実務で選ばれる理由

ドローンの映像伝送のみであれば三陸特で運用可能ですが、業務の拡張性を考慮し、二陸特を取得する事業者が多い傾向にあります。

二陸特を取得すると、ドローンの映像伝送に加え、人工衛星局の中継による無線通信(VSATなど)や、陸上の多重無線設備(空中線電力50W以下)の技術操作が可能になります。三陸特と二陸特の試験合格率はいずれも70〜85%程度で推移しており、難易度に大きな差はありませんが、二陸特の方が試験範囲が広い点は考慮が必要です。将来の業務拡張を見据えて二陸特から取得する選択肢も検討に値します。

2. 「アマチュア無線技士」との違いと業務利用の法的な注意点

アマチュア無線技士と陸上特殊無線技士は、利用目的が法律上明確に区別されています。

2-1. 趣味目的と業務目的の明確な境界線

電波法施行規則第3条第1項第15号におけるアマチュア業務とは、「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究その他総務大臣が別に告示する業務」と定義されています。アマチュア無線の資格で運用できる無線局は、この定義に基づく趣味やドローンレースのスポーツ利用など、業務目的を伴わない用途に限定されます。

以下のケースはすべて「業務利用」に該当します。

  • 企業から依頼を受けて行う空撮映像の撮影(報酬が発生する場合)
  • 自社のインフラ設備(橋梁、ビル、鉄塔)の点検作業
  • 農薬散布や測量など、事業活動の一環としての飛行
  • 動画サイトに広告収入(収益化)目的で投稿するための撮影

これらの業務で5.7GHz帯を使用する場合、第三級陸上特殊無線技士以上の資格が必要です。

2-2. 資格の業務流用による電波法違反リスクと罰則

アマチュア無線の資格のみで業務目的の飛行を行った場合、「不法無線局の開設・運用」として電波法違反に問われます。

電波法第110条により、不法に無線局を開設・運用した者は「1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」の対象となります(2025年6月1日施行の改正刑法により「懲役」から「拘禁刑」に改正)。法人が違法な運用を指示・容認していた場合には、法人に対しても罰金刑が科される「両罰規定」(電波法第116条)が適用されることがあります。業務でドローンを運用する場合は、適切な資格を取得したうえで無線局の免許を受ける必要があります。

3. 第二級陸上特殊無線技士の難易度と取得ルート

資格取得には「国家試験の受験」と「養成課程の受講」の2つのルートがあります。それぞれの特徴を以下に示します。

3-1. 試験の難易度・合格率と必要な学習時間の目安

日本無線協会の公表データによると、二陸特の国家試験合格率は近年70〜85%程度で推移しています。試験科目は「法規」と「無線工学」の2科目で構成されています。

事前知識がない場合の学習時間の目安は20〜40時間とされていますが、個人の習熟度や学習方法によって大きく異なります。学習方法としては、法規は条文の暗記、無線工学は過去問の反復演習が有効です。

3-2. 国家試験ルートと養成課程ルートの選び方

資格を取得するには、以下のいずれかの方法を選択します。

国家試験を受験するルート

  • 特徴:独学で学習し、日本無線協会が実施する試験を受験する。
  • 費用:受験料のみ(5,600円、CBT試験の場合は別途収納手数料が加算)で最も安価。
  • 期間:学習の進捗と試験日程(またはCBT試験の空き状況)による。
  • 適している人:費用を抑えたい方、独学での学習習慣がある方。

養成課程(講習)を受講するルート

  • 特徴:認定機関が実施するカリキュラムを受講し、修了試験に合格することで取得する。
  • 費用:数万円(テキスト代、受講料含む。実施機関により異なる)。
  • 期間:通常1〜2日間の集中講習で完結する。
  • 適している人:短期間で取得したい方、専門用語に不安がある方。

3-3. 二陸特の免許に有効期限はない

第二級陸上特殊無線技士の免許には有効期限がありません。一度免許証の交付を受ければ、生涯有効です。更新手続きや更新費用が不要なため、業務開始前の取得が合理的です。

4. 無線資格とあわせて取得すべきドローン操縦の国家資格

無線資格は「電波を適法に扱うためのライセンス」です。無人航空機を安全に運用するには、操縦に関する資格もあわせて必要です。

4-1. 電波法と航空法、両方の遵守がプロの必須条件

産業用ドローンを用いた業務(人口密集地域でのインフラ点検や目視外飛行など)を行う場合、原則として航空法に基づく許可・承認が必要です。ただし国家資格の取得や一定の条件を満たす場合は、許可・承認が不要となるケースもあります。無線資格(電波法)と操縦資格(航空法)の両方を保有することで、法令を遵守した業務運用が可能になります。

4-2. 国家資格と民間資格の違いとキャリアパスの選び方

ドローンの操縦資格には、目的に応じて「国家資格」と「民間・専門資格」があります。

  • 国家資格(一等・二等無人航空機操縦士):一等資格を取得し、さらに第一種機体認証を取得し、運航管理体制が整った場合に、「有人地帯での目視外飛行(レベル4飛行)」が可能になります。有人地帯での目視外飛行を伴う業務を行う場合に必要です。
  • 民間・専門資格:「点検特化」「測量特化」など、現場のニーズに即した専門技能を短期間で学ぶ場合に有効です。

 

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5. ドローンスクール選びの重要ポイント:資格取得後のサポート体制

実際の現場で安全にミッションを遂行するには、スクール選びの段階から資格取得後の環境を確認しておく必要があります。

5-1. 資格取得後に直面する「技能維持・練習場所」の課題

ドローンの操縦技術は、継続的な訓練がなければ低下します。しかし、航空法や各自治体の条例により、ドローンを自由に飛行させられる練習場所を自力で確保することは困難です。緊急時のマニュアル操縦への切り替えやイレギュラーな事態への対応力は、継続的な訓練によって維持されます。

5-2. アフターフォローが充実したスクールの選び方

卒業後の技能維持を考慮する場合、継続的なサポート体制の有無がスクール選定の判断材料になります。確認すべきポイントとしては、卒業生への練習場の開放、定期的な操縦訓練の実施、法改正情報の提供があります。

まとめ

5.7GHz帯を使用する産業用ドローンの業務利用には、適法で安定した通信環境を構築するための「第三級陸上特殊無線技士以上の無線従事者資格(業務拡張を見据えた場合は二陸特)」が求められます。 また、安全な飛行を行うための「操縦資格」や技能習得も重要です。 アマチュア無線との違いを正しく理解し、法令違反のリスクを回避してください。資格取得後の技能維持も含め、計画的に準備を進めることが重要です。

 

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参照・引用元一覧

総務省 電波利用ホームページ - https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/drone/  

この記事を書いた人

中山 慶一 中山 慶一

ドローンマスターズスクール運営元 株式会社モビリティテクノ ドローン事業部統括部長 2017年からドローン業務に従事し外注案件及び新規スクールの開校を手掛けています。