ドローン飛行の安全な風速とは?航空法の基準とプロの判断方法を解説

国家資格 ドローンスクール 航空法

ドローンを飛ばしたいけれど、「今日の風、大丈夫かな?」「風速何メートルまでなら安全なの?」と不安に思ったことはありませんか?

安全な風速の目安を知ることは、大切な機体を守り、思わぬ事故を防ぐための第一歩です。風は目に見えないからこそ、知識と準備が最大の防御になります。

この記事では、法律のルールから緊急時の操作まで、風とドローン飛行に関する主な疑問点について解説します。



この記事で分かること

  • 安全目安: ドローンを安全に飛ばせる風速は「5m/s」が基準
  • 場所別リスク: 海・山・ビル街など、場所ごとに潜む「危険な風」の特徴
  • プロの判断: アプリと目視を組み合わせた、失敗しない飛行可否判断フロー
  • 緊急対応: 万が一強風に流された時に、機体を無事に戻すリカバリー操作
  • チェックリスト: 飛行可否を迷った時に使える、現場用最終確認リスト

 

目次

  1. ドローンを安全に飛ばせる風速の目安は「5m/s」

1-1.風速5m/sってどれくらい?(ビューフォート風力階級)

1-2.なぜ「5m/s」なのか?メーカー公表値とのギャップ

  1. 知っておくべき航空法のルールと風速の関係

2-1.法律に「数値基準」はないが「義務」はある

2-2.事故時の法的責任と安全管理

2-3.2025年3月の飛行マニュアル改訂について

  1. なぜ危険?風がドローンに与える5つのリスク

3-1. 機体が意図せず流される(墜落・ロスト)

3-2. バッテリー消費が激しくなる

3-3. 映像が乱れ、正確な撮影が困難になる

3-4. GPSの測位が不安定になる

3-5. 離着陸時にバランスを崩しやすい

  1. 海・山・ビル街に潜む「危険な風」の特徴

4-1.海沿い・水上:遮るものがない強風と「海風・陸風」

4-2.山間部:地形が生む「吹き下ろし」と「谷風」

4-3.都市部:予測不能な「ビル風」とGPSロストの複合リスク

  1. ドローンの耐風性能を比較する
  2. 飛行判断に役立つ!風速の確認方法とおすすめアプリ

6-1.地上での確認:風速計(アネモメーター)

6-2.事前確認:天気予報アプリ(UAV Forecast / Windy)

6-3.地上が無風でも「上空」は強風かもしれない

  1. 数値だけじゃない!総合的な飛行可否の判断基準

7-1.平均風速と最大瞬間風速(ガスト)の差を見る

7-2.飛行可否判断チェックリスト

  1. もし強風に流されたら?緊急時のリカバリーテクニック

8-1. 焦らず「スポーツモード」へ切り替える

8-2. 高度を下げて風の弱い層へ逃げる

8-3. 風に真正面から逆らわず、斜め(ジグザグ)に移動して戻す

  1. 風に強いドローン操縦士になるために

まとめ

1. ドローンを安全に飛ばせる風速の目安は「5m/s」

ドローンを安全に飛行させられる風速は、機体の性能や操縦者のスキルによって異なりますが、多くのドローン初心者やホビーユーザーにとっての安全ラインは明確です。

安全を最優先する場合、「風速5m/s」が一つの大きな基準です。

 

関連記事:https://drone-school.mobility-techno.jp/blog/drone-map

1-1.風速5m/sってどれくらい?(ビューフォート風力階級)

風速5m/sは、気象庁が定める「ビューフォート風力階級」では「風力3(軟風)」に相当します。数字だけではイメージしにくい場合は、周囲の自然物を観察してください。

▼風速と体感の目安

風力階級

名称

風速 (m/s)

陸上の状態(目安)

飛行判断

0〜2

平穏〜軽風

0.0 - 3.3

顔に風を感じる。木の葉が揺れる。

安全

3

軟風

3.4 - 5.4

木の葉や細い枝が絶えず動く。

注意(初心者にとっては限界ライン)

4

和風

5.5 - 7.9

砂埃がたち、紙片が舞い上がる。小枝が動く。

危険(飛行中止を推奨)

5

疾風

8.0 - 10.7

葉のある灌木が揺れ始める。

厳禁

 

「木の葉や細い枝が絶えず動いている」状態であれば、風速は5m/s近くに達しています。このレベルを超えると、ホビー用ドローンはホバリング(空中停止)が不安定になり始めます。また、地上で風速5m/sの場合、上空では約1.5~2倍になります。そのため、運用基準では「地上風速5m/s以下」=上空のリスクを見込んだ安全基準として使われます。

1-2.なぜ「5m/s」なのか?メーカー公表値とのギャップ

機体のスペック表に「最大耐風速10m/s」と記載されていても、注意が必要です。

メーカー公表値はあくまで「墜落せずに耐えられる限界値」に近いものです。限界ギリギリの性能で飛行させれば、バッテリーは急激に減り、万が一のトラブルに対処する余裕(マージン)がなくなります。「スペックの50%〜60%程度」を安全圏と考えるのが、事故を起こさないパイロットの鉄則です。

2. 知っておくべき航空法のルールと風速の関係

航空法には、風速に関する具体的な数値基準は定められていません。しかし、だからといってどんな強風でも飛ばして良いわけではありません。

2-1.法律に「数値基準」はないが「義務」はある

日本の航空法では、ドローン(無人航空機)を飛行させる者が遵守すべきルールとして、「飛行前の確認」を義務付けています。

(飛行前確認) 第百三十二条の八十五 無人航空機を飛行させる者は、飛行前に、当該無人航空機の機体の点検、気象、飛行経路その他の飛行に必要な情報の確認その他の必要な準備を行わなければならない。※1

この条文にある「気象の確認」が重要です。つまり、ドローンを飛ばす前には必ず風速や天候を確認し、「安全に飛行できる状態かどうか」をパイロット自身の責任で判断しなければならないと定められているのです。

2-2.事故時の法的責任と安全管理

もし、この確認を怠り、強風注意報が出ている中で無理に飛行させて事故を起こした場合、「安全管理義務違反」として法的な責任を問われる可能性があります。法律に具体的な数値がないからこそ、パイロットにはより一層、慎重で責任ある判断が求められます。

2-3.2025年3月の飛行マニュアル改訂について

国土交通省の「無人航空機飛行マニュアル※2」は2025年3月31日に改訂され、機体の性能(防水性能など)によっては、従来よりも柔軟な気象条件下での飛行が認められるようになりました。ただし、これは機体スペックと安全管理体制が整っている場合に限られます。風速5m/sの基準は、依然として初心者・ホビーユーザーにとっての重要な安全ラインです。

3. なぜ危険?風がドローンに与える5つのリスク

「少しくらい風が強くても、ドローンの性能なら大丈夫だろう」という油断は禁物です。風は、私たちが思う以上にドローンの飛行に深刻な影響を与えます。

3-1. 機体が意図せず流される(墜落・ロスト)

最も危険なリスクです。特に上空は地上よりも風が強く、突発的な突風(ガスト)が吹くこともあります。風にあおられた機体は、操縦者のコントロールを離れて一瞬で流され、建物や木に衝突したり、そのまま見失ってしまったり(ロスト)する危険性が高まります。

3-2. バッテリー消費が激しくなる

ドローンは、風に逆らってその場に留まろうとする際、モーターの出力を上げて姿勢を制御します。風が強ければ強いほどエネルギーを激しく消費するため、通常なら20分飛べる機体が、強風下では10分持たずにバッテリー切れになることもあります。

3-3. 映像が乱れ、正確な撮影が困難になる

風は、空撮時の映像品質に大きな影響を与えます。機体が常に揺さぶられるため、ジンバル(カメラの揺れを抑える装置)の補正能力を超えてしまい、映像が波打ったり(こんにゃく現象)、カクカクしたりすることがあります。

3-4. GPSの測位が不安定になる

強風によって機体が大きく傾くと、GPSアンテナが衛星を捉えにくくなり、測位が不安定になることがあります。GPSの補助を失い(ATTIモードへ移行)した機体は、風に流されやすくなり、操縦難易度が跳ね上がります。

3-5. 離着陸時にバランスを崩しやすい

ドローン事故は、離着陸時にも多く発生します。地上付近は建物や樹木の影響で風が乱れやすく、特に着陸時には地面効果(地面に近づくと揚力が変化する現象)も相まって、機体が最も不安定になります。離着陸時は特に慎重な操作と風の観察が必要です。

4. 海・山・ビル街に潜む「危険な風」の特徴

風速計の数値が5m/s以下でも、場所によっては危険な風が吹いていることがあります。地形特有のリスクを知っておきましょう。

4-1.海沿い・水上:遮るものがない強風と「海風・陸風」

海や湖の上は障害物がなく、風が通り抜けるため、陸地よりも風速が強くなる傾向があります。また、日中は海から陸へ、夜は陸から海へと風向きが変わる「海風・陸風」の影響も受けます。バッテリー残量が少ない帰還時に、強い向かい風に阻まれて戻れなくなる「水没リスク」が最も高いエリアです。

4-2.山間部:地形が生む「吹き下ろし」と「谷風」

山では、地形に沿って風が複雑に変化します。特に注意が必要なのが、山の斜面を駆け下りる「吹き下ろし」の風です。これに巻き込まれると、ドローンは急激に高度を下げられ、地面や木々に叩きつけられる危険があります。また、谷間は風の通り道となり、局所的に風速が速まる「ベンチュリ効果」が発生しやすい場所です。

4-3.都市部:予測不能な「ビル風」とGPSロストの複合リスク

高層ビルの周辺では、ビルに当たった風が剥離して渦を巻く「ビル風」が発生します。風向や風速がめまぐるしく変わるため、制御が非常に困難です。さらに、ビル影ではGPS電波が遮断されやすく、強風とGPS信号の喪失が重なる危険な状況に陥る可能性があります。

5. ドローンの耐風性能を比較する

ドローンの耐風性能は、重量やモーター出力によって大きく異なります。ご自身の機体がどのカテゴリに属するか確認しておきましょう。

カテゴリ

代表的な機種例

耐風性能の目安

特徴と注意点

入門機

DJI Mini 2 SE

5〜8 m/s (風力3〜4)

軽量で風に流されやすい。風速5m/s以上は飛行中止を推奨。

空撮・中級機

DJI Air 3, Mavic 3 Pro

10〜12 m/s (風力5〜6)

ある程度の風には耐えるが、過信は禁物。強風時はバッテリー消耗が激しい。

産業用・業務用

Matrice 350 RTK

12〜15 m/s (風力6〜7)

高出力で安定性は高いが、重量があるため墜落時の被害も甚大になる。

 

最新の小型機は風に強い? 

最近の小型ドローン(Miniシリーズなど)は性能が向上し、スペック上は大型機並みの耐風性能(10.7m/sなど)を持つものも増えています。しかし、物理的な重量が軽いため、突風を受けた時の「飛ばされやすさ」は変わりません。小型機ほど、風に対して慎重になるべきです。

6. 飛行判断に役立つ!風速の確認方法とおすすめアプリ

安全な飛行判断のためには、信頼できる情報源から正確な風速データを取得することが不可欠です。

6-1.地上での確認:風速計(アネモメーター)

最も確実なのは、飛行させる現場で携帯型の風速計(アネモメーター)を使って直接測定する方法です。数千円で購入できるもので十分ですので、ドローンバッグに一つ入れておくことを強くおすすめします。

6-2.事前確認:天気予報アプリ(UAV Forecast / Windy)

飛行計画を立てる段階では、ドローン専用の気象アプリが役立ちます。

  • UAV Forecast: ドローンパイロットの定番。高度別の風速や、GPS衛星の捕捉数予報など、飛行に必要な情報を網羅しています。「Good to Fly」という表示が出るかどうかが一つの目安になります。※3
  • Windy.com: 風の流れを視覚的に確認できるアプリ。地形による風の変化や、時間の経過による風向きの変化を直感的に把握できます。※4

6-3.地上が無風でも「上空」は強風かもしれない

初心者が陥りやすい罠が「上空の風」です。地表付近は摩擦で風が弱まっていますが、上空100m〜150mでは障害物がなく、地上の1.5倍〜2倍以上の風が吹いていることが珍しくありません。アプリで「高度100mの風速」を確認するか、地上で3m/s程度の風を感じたら、上空は5m/sを超えている可能性があると警戒してください。

7. 数値だけじゃない!総合的な飛行可否の判断基準

経験豊富なプロのパイロットは、アプリの数値だけでなく、現場の状況を総合的に見て判断します。

7-1.平均風速と最大瞬間風速(ガスト)の差を見る

天気予報の「風速」は平均値です。本当に怖いのは、突発的に吹く「最大瞬間風速(ガスト)」です。平均風速が3m/sでも、時折8m/sの突風が吹くような日は、ドローンが安定せず非常に危険です。平均値と最大値の差が大きい日は、飛行を見送るのが賢明です。

7-2.飛行可否判断チェックリスト

飛行直前に、以下の項目をチェックしてみてください。一つでも「NO」がある場合は、飛行の中止や延期を検討しましょう。

  • 地上の平均風速は5m/s以下か?
  • アプリ上の「上空(飛行高度)の風速」は10m/s以下か?
  • 最大瞬間風速(ガスト)は平均風速+5m/s以内に収まっているか?
  • 離着陸ポイントの風上側に、障害物(ビル・木)はないか?(乱流の原因)
  • 万が一風に流された時、安全に不時着できるスペースはあるか?
  • 自身の体調は万全で、冷静な判断ができる状態か?

8. もし強風に流されたら?緊急時のリカバリーテクニック

どんなに注意していても、上空で急な突風に遭遇することはあります。機体が風に流され始めた時、パニックにならずに対処するためのテクニックを紹介します。

8-1. 焦らず「スポーツモード」へ切り替える

多くのドローンには、速度制限を解除して高速飛行できる「スポーツモード(Sモード)」が搭載されています。通常モード(Nモードなど)では速度が制限されているため、強い向かい風には勝てず、押し戻されてしまいます。風に流されそうになったら、即座にスポーツモードに切り替え、フルスロットルで風に対抗してください。 ※ただし、ブレーキが効きにくくなるため、障害物への衝突には十分注意が必要です。

8-2. 高度を下げて風の弱い層へ逃げる

一般的に、風は高度が高いほど強く、低いほど弱くなります。上空で制御不能になりかけたら、周囲の安全を確認しつつ、高度を下げてください。地表近くの風が弱い層まで降りることで、機体の制御を取り戻せる可能性が高まります。

8-3. 風に真正面から逆らわず、斜め(ジグザグ)に移動して戻す

真正面からの強風に逆らって直進しようとすると、空気抵抗が最大になり、なかなか進みません。風上に対して斜めに飛行し、ジグザグに進むことで抵抗を減らして帰還できる場合があります。

9. 風に強いドローン操縦士になるために

ここまで解説した通り、風への対処は「知識」と「実践スキル」の両方が必要です。天気予報アプリを見るだけでは、突発的な乱流や緊急時のリカバリーには対応できません。

本当に安全なフライトを実現するためには、風の変化を機体の挙動で感じ取り、瞬時に指先で反応できる操縦技術が不可欠です。こうした高度な技術や、緊急時の冷静な判断力を養うには、独学よりも専門のスクールで体系的に学ぶことが近道です。

ドローンマスターズスクールでは、基礎から応用まで学べる国家資格コースや、現場で役立つ専門技術を磨く民間・専門資格コースを提供しています。

また、卒業後も無料で操縦訓練に参加できる完全アフターフォロー型教習校として、あなたのスキル維持・向上をずっとサポートします。「風に負けないパイロット」を目指すなら、ぜひ私たちの環境を活用してください。

まとめ

ドローンの安全な飛行の目安となる風速は5m/sです。しかし、これはあくまで目安に過ぎません。

プロのパイロットは、数値だけでなく、地形、風の質、上空の状況、そして自身のスキルを総合的に判断してフライトを決定します。常に「飛ばさない勇気」を持ち、安全マージンを確保することが、長くドローンライフを楽しむ秘訣です。

ドローンマスターズスクールお申し込みはこちら

 

ドローンマスターズスクールの詳細

■ドローンマスターズスクールの特徴や国家資格制度について、さらに詳しく知りたい方は当スクールの「無料説明会(ドローンセミナー)」に是非ご参加下さい!


ドローンマスターズスクール一覧

DMS茨城つくば校
DMS茨城笠間校
DMS埼玉浦和校
DMS栃木宇都宮校
DMS東京足立校
DMS千葉野田校(農薬散布ドローン専門)
DMS東京秋葉原校

参照・引用元一覧

  1. e-Gov法令検索「航空法」 - https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC0000000231 
  2. 国土交通省「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」-https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html
  3. UAV Forecast - https://www.uavforecast.com/ - ドローン向け天気予報アプリの参考情報
  4. Windy.com - https://www.windy.com/ - 気象情報可視化アプリの参考情報

 

この記事を書いた人

中山 慶一 中山 慶一

ドローンマスターズスクール運営元 株式会社モビリティテクノ ドローン事業部統括部長 2017年からドローン業務に従事し外注案件及び新規スクールの開校を手掛けています。