ドローンを購入したら、最初に行うべきことをご存知ですか?
それは機体の登録です。
2022年6月から100g以上のドローンは登録が義務化され、未登録の機体を飛行させると罰則の対象となります。この記事では、登録手続きから登録後の対応まで、すべての手順を解説します。
1.ドローン登録制度の基本と対象
1-1.登録が必要なドローンとは?
「自分が所有するドローンは登録が必要かどうか」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。
結論から言うと、屋外で飛行させる100g以上のすべてのドローンや無線操縦装置が登録対象です。
この重量には、バッテリーやプロペラガードなど飛行に必要な装備も含まれます。
登録が不要なのは以下のケースのみです。
- 100g未満のドローン
- 屋内専用のドローン(一度も屋外で飛ばさない場合)
「たまにしか飛ばさないから…」「趣味で使うだけだから…」といった理由では免除されませんので注意が必要です。登録せずに飛行させると、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
登録制度が導入された背景には、ドローンの急速な普及に伴う事故や無許可飛行の増加があります。
国土交通省によれば、この制度は「事故発生時の所有者特定」「安全確保」「問題のある機体の排除」を目的としています。
参考:国土交通省 無人航空機の登録制度の概要 -https://www.mlit.go.jp/koku/content/001443264.pdf
1-2.登録の有効期間と費用
ドローン登録の有効期間は3年間です。期限が切れる前に更新手続きを行う必要があります。登録にかかる費用は申請方法によって異なります。
- オンライン申請(マイナンバーカード使用):900円/2機目 890円
- オンライン申請(運転免許証・パスポート使用):1,450円/2機目 1,050円
- 書面による申請:2,400円/2機目 2,000円
初期費用を抑えたい場合は、マイナンバーカードを使ったオンライン申請がおすすめです。
また、更新手続きは有効期限の1ヶ月前から可能になります。
2.ドローン登録の3ステップ手順

STEP1: システムへのアクセスと会員登録
ドローン登録はオンラインで簡単に行えます。
以下の手順に従って、まずはアカウント開設から始めましょう。
- 「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)」にアクセスする
- 「アカウント開設」をクリックし、利用規約と飛行ルールを確認
- 本人確認方法を選択する
- マイナンバーカード:最も手続きが早く、費用も安い
- 運転免許証/パスポート:オンラインで本人確認
- 本人確認書類郵送:書類を郵送で提出
- 必要事項(氏名・住所・メールアドレス・電話番号など)を入力
- 登録したメールアドレスに確認メールが届くので、記載されたURLをクリック
マイナンバーカードを使用する場合は、スマートフォンアプリを使ってカード情報を読み取る必要があります。この方法が最も審査が早く、通常1〜2日程度で完了します。
「無人航空機登録ハンドブック」によると、法人としての登録も可能です。その場合は会社情報がわかる書類(登記事項証明書など)の提出が必要となります。
参考:
- ドローン情報基盤システム2.0 - https://www.ossportal.dips.mlit.go.jp/portal/top/
- 国土交通省 無人航空機登録ハンドブック - https://www.mlit.go.jp/koku/drone/assets/pdf/mlit_HB_web_2022.pdf
STEP2: 機体情報の入力と申請
アカウント開設後、次は機体情報の登録に進みます。
- 発行されたIDとパスワードでDIPS2.0にログイン
- メインメニューから「無人航空機の登録申請へ」→「新規登録」を選択
- 以下の機体情報を入力する
- 製造者名(メーカー名)
- 機体の型式(機種名)
- 製造番号(シリアルナンバー)
- リモートID有無
- 改造の有無
- 入力内容を確認して申請を完了
知っておくと便利なのは、多くの主要メーカーの機体情報がシステムに登録されていることです。
プルダウンメニューから選択するだけで、型式などの情報が自動入力されます。
ただし、自作機や一部のマイナーな機種では、すべての情報を手動で入力する必要があります。
その場合は、機体の取扱説明書や仕様書を手元に用意しておくと入力がスムーズです。
複数の機体を所有している場合は、個別に登録する必要があります。
登録手数料も機体ごとに必要ですので注意しましょう。
参考:
- 国土交通省 無人航空機の登録方法(DIPS2.0)動画 - https://www.youtube.com/watch?v=Oc1TWro3IeI
STEP3: 手数料納付と登録記号の発行
申請が受理されると、メールで支払い方法の案内が届きます。以下の手順で手数料を納付しましょう。
- メールに記載されたURLからDIPS2.0にログイン
- 「申請状況確認/取下げ/支払い」から「支払い」を選択
- 以下のいずれかの方法で支払いを行う
- クレジットカード
- インターネットバンキング
- ATM(ペイジー)
- 支払い完了後、審査が行われる
- 審査完了後、登録記号が発行される
登録記号は「JU-」で始まる10桁の英数字です(例:JU-ABCD1234)。
この記号は機体を識別するための重要な情報で、飛行前に必ず機体に表示する必要があります。
審査にかかる時間は本人確認方法によって異なります。マイナンバーカードを使用した場合は最短1〜2日、書類郵送の場合は1〜2週間程度かかることが一般的です。なお、審査状況はDIPS2.0の「申請状況確認」から確認できます。
「もし申請が却下されたらどうなるの?」と心配される方もいるでしょう。申請内容に不備がある場合は補正指示のメールが届きますので、指示に従って修正すれば問題ありません。ただし、虚偽の申請をした場合は却下される可能性があります。
3.登録後に必要な2つの対応
3-1.登録記号の表示方法と規定
登録が完了したら、発行された登録記号を機体に表示する必要があります。
表示方法には以下の規定があります。
- 表示場所: 機体の外部から容易に確認できる場所
- 表示方法: 直接記入、シール貼付、プレート取付など
- 文字サイズ: 判読可能な大きさ
- 耐久性: 飛行中に脱落しない方法
小型のドローンでは、機体の側面や底面にシールを貼るのが一般的です。表示は鮮明で判読可能である必要があり、飛行中に消えたり脱落したりしないよう注意しましょう。
実際の現場では、耐水性のあるラベルシールに登録記号を印刷し、さらにその上から透明なテープなどで保護する方法が効果的です。万が一、表示が損傷したり脱落したりした場合は、すぐに再表示しなければなりません。
参考:
- 国土交通省 無人航空機登録要領 - https://www.mlit.go.jp/koku/content/001442849.pdf
3-2.リモートID機能の設定と確認
もう一つ重要なのが「リモートID機能」です。
これは機体が飛行中に電波で登録情報を発信する機能で、事故発生時の機体特定などに役立ちます。
リモートID機能には以下の3つの対応方法があります。
- 機体内蔵型: 最新のドローンの多くは内蔵済み
- アドオン型: 外付けのリモートID発信機を取り付ける
ただし、以下のケースではリモートID機能の搭載が免除されます。
- 2022年6月19日までに登録手続きを完了した機体(更新後も免除継続)
主要メーカーの最新機種(DJI、Autel、Skydioなど)は、ほとんどがリモートID機能を内蔵しています。お使いの機体がリモートID対応かどうかは、メーカーのウェブサイトや取扱説明書で確認できます。
非対応の機体を使用する場合は、国土交通省が認定したリモートID機器を追加で購入・装着する必要があります。対応機器の一覧は国土交通省のウェブサイトで公開されています。
参考:
- 国土交通省 適合しているとして届出があったリモートID機器等の一覧 - https://www.mlit.go.jp/koku/content/001484158.pdf
4.登録に関するよくある質問
4-1.複数機体の登録方法
複数のドローンを所有している場合、それぞれの機体ごとに登録申請を行う必要があります。
ただし、一度アカウントを作成すれば、同じアカウントから複数の機体を登録できます。
手続きの流れは以下の通りです。
- DIPS2.0にログイン
- メインメニューから「新規登録」を選択
- 機体情報を入力して申請
- 手数料を支払い
- 登録記号が発行される
注意点として、登録手数料は機体ごとに必要です。例えば3機のドローンを登録する場合、マイナンバーカードを使用したオンライン申請なら900円+890+890=2,680円が必要となります。
また、同じ型式の機体でも製造番号(シリアルナンバー)が異なれば、それぞれ個別に登録する必要があります。
4-2.法人としての登録手続き
企業や団体としてドローンを登録する場合、個人登録とは少し手続きが異なります。
法人登録の特徴は以下の通りです。
- 本人確認: 代表者または担当者の本人確認書類に加え、法人の登記事項証明書などが必要
- 所有者情報: 法人名、所在地、代表者名などを入力
- 使用者情報: 実際に機体を操作する担当者の情報を登録可能
法人登録のメリットは、機体の管理が組織的に行える点です。
代表者が変わっても、法人として継続的に管理できます。また、使用者情報を追加することで、複数のパイロットが同じ機体を使用する場合も対応可能です。
法人登録でよくある質問は、「支店や営業所ごとに登録すべきか」というものです。これについては、機体の管理体制によって判断するのが適切です。全社で一元管理する場合は本社で一括登録、各拠点で独立して管理する場合は拠点ごとに登録するとよいでしょう。
参考:
- 国土交通省 法人・団体の場合の記載例 - https://www.mlit.go.jp/koku/content/001446091.pdf
4-3.登録情報の変更・更新方法
登録情報に変更が生じた場合や、3年の有効期間が満了する場合は、それぞれ以下の手続きが必要です。
登録情報の変更
- DIPS2.0にログイン
- 「変更届出」を選択
- 変更する機体を選択
- 変更内容を入力して申請
変更可能な情報には以下があります。
- 所有者の住所、電話番号、メールアドレス
- 機体の使用者情報
- 機体の名称
一方、以下の情報は変更できません。
- 所有者の氏名(法人名)
- 機体の製造者名、型式、製造番号
これらの情報を変更する必要がある場合は、一度抹消手続きを行い、新たに登録し直す必要があります。
登録の更新
- 有効期限の1ヶ月前から更新可能
- DIPS2.0にログイン
- 「有効期間更新」を選択
- 更新する機体を選択
- 必要情報を確認・更新
- 手数料を支払い
更新を忘れると、有効期限切れとなり機体を飛行させることができなくなります。
参考:
- 国土交通省 機体登録の有効期間の更新 - https://www.mlit.go.jp/koku/drone/
4-4.中古ドローンの登録方法
中古ドローンを購入した場合の登録手続きは、前所有者の対応によって異なります。
前所有者が登録抹消手続きを行っている場合
- 新規登録と同じ手順で登録申請を行う
- 機体情報(製造者名、型式、製造番号)を入力
- 新たな登録記号が発行される
前所有者が登録を抹消していない場合
- 前所有者に抹消手続きを依頼する
- 抹消完了後、新規登録を行う
または
- 所有権の移転手続きを行う(前所有者の協力が必要)
- 同じ登録記号のまま所有者情報のみ変更される
実務上は、中古ドローン購入時に「登録抹消証明書」や「登録記号」を前所有者から受け取っておくと、スムーズに手続きが進みます。
また、中古機の場合、製造番号(シリアルナンバー)の確認が重要です。機体本体やバッテリー収納部、専用アプリなどで確認できることが多いので、登録前に必ず確認しましょう。
5.ドローン操縦と法令遵守の重要性
5-1.登録だけでなく技術習得も必須
ドローンの登録は法令遵守の第一歩に過ぎません。安全にドローンを飛行させるには、適切な操縦技術と知識の習得が不可欠です。
特に初心者の方は、以下のポイントに注意が必要です。
- 基本的な操縦技術: 離着陸、ホバリング、方向転換などの基本操作
- 飛行ルールの理解: 飛行禁止空域、飛行方法の制限など
- 安全管理の知識: 気象条件の判断、バッテリー管理、緊急時の対応など
これらのスキルや知識は、独学でも身につけられる部分もありますが、プロフェッショナルな指導を受けることで、より確実に、そして効率的に習得できます。
5-2.プロフェッショナルな指導を受けるメリット
ドローン操縦の専門スクールで学ぶことには、以下のようなメリットがあります。
- 体系的な学習: 基礎から応用まで順序立てて学べる
- 専門家からの直接指導: 現場のノウハウや裏技も学べる
- 安全な環境での練習: 専用の練習場所で安心して練習できる
- 資格取得のサポート: 国家資格の取得に向けた効果的な準備ができる
- 同じ趣味・目的を持つ仲間との出会い: 情報交換や交流の機会が得られる
特に2022年12月からスタートしたドローンの国家資格制度(操縦者技能証明制度)に対応するためには、専門的な指導を受けることが大きな助けとなります。
ドローンマスターズスクールでは、初心者向けの入門コースから、国家資格取得を目指す本格的なコースまで、幅広いカリキュラムを提供しています。各地に拠点があり、実践的な飛行訓練と法令知識の両方を学べる環境が整っています。
安全で楽しいドローン飛行のために、ぜひプロフェッショナルな指導を検討してみてください。
6.まとめ
ドローン登録は法令遵守の基本です。100g以上の機体は登録し、記号表示とリモートID対応を行いましょう。安全なドローン活用には、プロの指導による技術習得も重要です。
ドローンマスターズスクールの詳細
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