5.8GHz帯を使用するFPVドローンを操縦するには、第4級アマチュア無線技士以上の資格と無線局の開局手続きが必要です。本記事では、免許が必要なケースの判別方法、取得手順、開局申請の流れ、業務利用時に求められる別資格について解説します。
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この記事でわかること
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目次
1-2.映像伝送における2.4GHz帯と5.8GHz帯の違い
1. なぜドローンに「アマチュア無線免許」が必要なのか?

ドローンの映像伝送に使用する電波の周波数帯が電波法の規制対象となるため、特定の条件下でアマチュア無線免許が必要となります。※1
1-1.日本の電波法規制とドローンの関係
日本国内で電波を発する機器を使用する場合、原則として総務省が定める「電波法」に従う必要があります。電波は有限の資源です。無秩序に発信されると、航空通信や救急無線に干渉を引き起こす恐れがあるため、法律で管理されています。
ドローンから操縦者の手元のゴーグルやモニターにリアルタイムで映像を送信する仕組み(FPV:First Person View)では、大容量かつ低遅延の通信が求められます。そのため、多くの場合「5.8GHz帯」の周波数帯が用いられます。この電波を日本国内で趣味目的として発射するには、「第4級アマチュア無線技士」以上の資格を取得し、使用する機材について「無線局の開局手続き」を行う必要があります。
1-2.映像伝送における2.4GHz帯と5.8GHz帯の違い
ドローンの通信で主流となっている電波帯には、「2.4GHz帯」と「5.8GHz帯」の2種類があります。この違いが、免許の要否を分ける基準になります。
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項目 |
2.4GHz帯 |
5.8GHz帯 |
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主な用途 |
一般的な空撮ドローン、トイドローン |
FPVドローン、マイクロドローン |
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特徴 |
障害物に比較的強いが、電波干渉を受けやすい |
電波干渉に強く、低遅延な映像伝送が可能 |
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必要な資格 |
不要(技適マークがある場合) |
第4級アマチュア無線技士以上(趣味利用時) |
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開局申請 |
不要 |
必須 |
高速で飛行するドローンレースでは、映像の遅延が操縦ミスや機体の損傷につながるため、5.8GHz帯によるFPVシステムが採用されています。「ドローンを飛ばすための資格」ではなく、「5.8GHz帯の映像伝送システム(VTx)を利用するための資格」としてアマチュア無線免許が求められています。
1-3.無資格・無開局での運用に対する罰則(電波法違反)
無資格、あるいは開局申請を行わずに5.8GHz帯の電波を発射した場合、電波法第110条の規定により「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」の罰則が科せられる可能性があります。なお、「懲役」という表現は2022年の刑法改正(懲役・禁錮を「拘禁刑」に一本化)に伴い「拘禁刑」に改められています。法令の遵守が求められます。
2. アマチュア無線免許が必要なドローン・不要なドローン

使用する機体が免許を必要とするかどうかは、以下の基準で判断できます。
2-1.FPVドローン・レーシングドローン
専用のゴーグルを装着して操縦する「FPVドローン」の多くは免許が必要です。
- レーシングドローン:ドローンレースで使用される機体
- マイクロドローン(Tiny Whoopなど):室内や狭い空間でのアクロバティックな飛行に使用される小型機
- 自作FPVドローン:自分でパーツを組み合わせて制作する機体
これらは5.8GHz帯の映像伝送システムを採用しているため、資格と開局申請が不可欠です。
2-2.一般的な空撮・トイドローン(DJI製品など)
一方で、国内の正規代理店で販売されている多くのドローンは、免許がなくても操縦できます。
- 一般的な空撮ドローン:DJI Mavicシリーズ、Miniシリーズなど
- トイドローン:Telloなど、スマートフォンとWi-Fi接続して操縦する小型機
これらは、日本の技適を取得した2.4GHz帯のシステムを採用しているため、無資格で操縦・映像受信が可能です。
※DJI製品でも「DJI FPV」や「DJI Avata 2」は、日本国内仕様として2.4GHz帯(免許不要)に制限されて販売されているモデルがあります。ただし、海外仕様をそのまま持ち込んで使用すると電波法違反となるため注意が必要です。
2-3.海外製ドローンと技適マークの有無
海外のECサイト(BanggoodやAliExpressなど)で購入した海外仕様のドローンには注意が必要です。海外では5.8GHz帯が無資格で使用できる国もあり、5.8GHz帯の通信機器が組み込まれています。これらを日本国内でそのまま電源を入れて電波を発射すると違法です。
電波を発する特定無線設備には、総務省の基準を満たした「技適マーク」が必要です。技適マークは、技術基準適合証明(機器1台ごとの審査)または工事設計認証(設計段階での審査・量産向け)のいずれかを取得した機器に付与されます。技適マークのない機器を無線局免許なしで使用することは電波法違反となります。ただし、後述する「保証認定」を経て無線局免許を取得した場合は、技適マークのない機材でも合法的に使用できます。日本のルールに適合した製品を選ぶか、適切な手続きを行ってください。
3. アマチュア無線免許(第4級)の取得手順と費用

「第4級アマチュア無線技士」の資格は国家資格です。取得には大きく分けて2つの方法があります。
3-1.ルート1:費用を抑える「国家試験」
公益財団法人日本無線協会が実施する国家試験を直接受験する方法です。
- メリット:費用が安い
- 学習方法:市販の過去問題集での独学が一般的。過去問と類似した問題が多く出題されます
- 費用目安:受験料5,100円+免許証申請手数料(電子申請1,750円/書面申請2,050円)で合計約6,850〜7,150円程度。テキスト代を含めても1万円前後です
費用改定のご注意:2026年10月1日以降の申請分から受験料が5,700円に改定予定です。また、免許申請手数料は2025年10月1日以降2,050円(書面申請)に改定済みです。最新情報は日本無線協会公式サイトでご確認ください。
3-2.ルート2:合格率の高い「養成課程講習会」
総務大臣の認定を受けた団体(一般財団法人日本アマチュア無線振興協会(JARD)※2) などが開催する講習会を受講する方法です。
- メリット:合格率が高く、初心者でも取り組みやすい
- 学習方法:2日間の日程で専門講師から講義を受け、最終日の修了試験に合格すれば取得できます(eラーニング方式もあります)
- 費用目安:受講料と免許申請手数料込みで26,250円(一般・2025年9月以降の料金。18歳以下は14,150円)
費用は変更される場合があります。最新情報はJARD公式サイトでご確認ください。
4. 免許取得後の必須手続き:無線局の開局申請

資格を取得しただけでは、5.8GHz帯のドローンを飛ばせません。「無線局の開局申請」が必要です。
4-1.無線局の開局申請とは
免許証が届いたら、使用する無線設備(ドローンの映像送信機=VTx)を総務省の総合通信局へ登録・申請し、「無線局免許状」の交付を受ける必要があります。この免許状が発行されて初めて、合法的に電波を発射できます。
4-2.海外製VTxを利用するための「保証認定」
FPVドローンで使用するVTxの多くは海外製であり、日本の技適マークが付いていないことがほとんどです。このままでは開局申請が通らないため、JARDやTSS株式会社といった専門機関を通じて「保証認定」の審査を受ける必要があります。この審査をクリアすることで、技適マークのない機材でも合法的に使用できるようになります。手続きには数週間〜1か月程度かかることもあるため、余裕を持った準備が必要です。
5. アマチュア無線免許では「業務利用」はできない

FPVドローンの免許について調べる際に把握すべき重要な法的制限があります。「アマチュア無線免許で許可されているのは、個人的な趣味の範囲での利用に限られる」という原則です。
5-1.アマチュア無線の目的は「趣味」に限定
アマチュア無線は電波法施行規則第3条第1項第15号で「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究その他総務大臣が別に告示する業務を行う無線通信業務」と定義されています。金銭的な利益を目的とした使用や、企業の事業活動の一環としての使用は禁止されています。
- OKな例(趣味):休日に自分の記録用として河川敷でアクロバット飛行を撮影する。
- NGな例(業務):クライアントから依頼されてPV用の映像を撮影する、収益化を目的とした動画配信に使用する、会社の業務としてインフラ点検を行う。
これらをアマチュア無線局の電波で行うと目的外使用として違法となり、免許取り消しや罰則の対象となります。
5-2.業務利用に必須の「第三級陸上特殊無線技士」とは
5.8GHz帯のFPVドローンを空撮ビジネスなどで「業務」として活用する場合に必要となるのが、「第三級陸上特殊無線技士(三陸特)」以上の業務用の無線資格です。
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項目 |
アマチュア無線(第4級等) |
第三級陸上特殊無線技士 |
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利用目的 |
趣味(自己訓練・研究等)のみ |
業務利用(報酬を得る撮影、点検等) |
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使用機材 |
アマチュア無線用に保証認定を受けた機材等 |
業務用の技術基準適合証明を取得した専用機材等 |
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ハードル |
比較的容易に開局可能 |
機材が高価であり、要件が厳しい |
業務利用にあたっては、資格取得だけでなく、業務用に認定された機材を用意して「無人移動体画像伝送システム」としての開局申請を行う必要があります。業務利用を予定している場合は、取得する資格と必要な機材を事前に確認しておくことが重要です。
6. ドローン操縦に必要な資格とは?

機体が空を飛ぶ以上、航空法をはじめとする関連法規を理解しておく必要があります。無線資格とは別に取得を検討すべき資格について解説します。
6-1.航空法に基づく「無人航空機操縦士(国家資格)」
2022年12月、航空法改正に伴いドローンの操縦ライセンス制度(国家資格)である「無人航空機操縦士(一等・二等)」が新設されました。
FPVドローンの場合、ゴーグルを装着して操縦するため、航空法上は「目視外飛行」に該当し、事前に国土交通省への飛行許可・承認申請が必須となります。二等以上の国家資格を取得していると、一定の条件下でこの申請手続きが一部簡略化または免除されるメリットがあります。アマチュア無線免許は電波の発射に関する資格であり、無人航空機操縦士は機体の安全な運航に関する資格です。
6-2.スキルアップを目指すなら専門スクールへ
電波法、航空法、小型無人機等飛行禁止法など、ドローンを取り巻く法律は複雑化しており、独学で最新の法改正まで把握し続けるには、継続的な情報収集が求められます。専門のインストラクターから学ぶことで、実技と法規の両面を体系的に習得できます。
体系的に学びたい場合は、国土交通省の登録講習機関として認定されたドローンスクールの活用も選択肢の一つです。
まとめ
FPVドローンの操縦において、5.8GHz帯の電波を使用する場合は「第4級アマチュア無線技士」以上の資格と無線局の開局手続きが必須です。アマチュア無線での業務利用は法律で禁止されているため、仕事で活用する場合は「第三級陸上特殊無線技士」の取得が必要になります。
違法電波による罰則(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)を避けるためにも、購入する機体の周波数帯や技適マークの有無を確認し、目的に合った正しい資格と手続きを行ってください。関連法規を遵守し、安全にドローンを運用してください。
ドローンマスターズスクールの詳細
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DMS千葉野田校(農薬散布ドローン専門)
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参照・引用元一覧
- ドローン等に用いられる無線設備について - https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/drone/
- 一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会(JARD) - https://www.jard.or.jp/









