ドローンの国家資格に必要な「身体検査」とは?合格基準や免除の条件を解説

国家資格 二等無人航空機操縦士 一等無人航空機操縦士 航空法

ドローンの国家資格(無人航空機操縦者技能証明)の取得には、学科試験・実地試験に加えて「身体検査」への合格が必要です。本記事では、自動車の運転免許証を使って検査を省略する方法、具体的な合格基準、医療機関で受診する際の手順と注意点を解説します。

この記事でわかること

  • ドローン国家資格の身体検査における具体的な合格基準
  • 自動車の運転免許証による最も簡単な検査免除(代替)手続き
  • 運転免許証がない場合の医療機関での受検手順と注意点
  • 視力矯正や車椅子利用など、身体検査に関するよくある疑問への回答

目次

1. ドローンの国家資格に必要な「身体検査」とは?

1-1. 身体検査が必要な理由

1-2. 一等資格と二等資格で検査基準は異なる

2. 自動車の運転免許証による身体検査の省略方法

2-1. 代替として認められる書類と認められない書類

2-2. 申請手順と差し戻しを防ぐポイント

3. 身体検査の具体的な合格基準

3-1. 視力・色覚・聴力・運動能力の基準一覧

3-2. メガネやコンタクトレンズによる矯正について

4. 運転免許証がない場合は「医療機関(病院)」で受診

5. まとめ

参照・引用元一覧

1. ドローンの国家資格に必要な「身体検査」とは?

2022年12月の航空法改正に伴い、ドローン(無人航空機)の国家資格である「無人航空機操縦者技能証明」制度がスタートしました※1。この資格を取得するためには、学科試験や実地試験に合格するだけでなく、「身体検査」をクリアする必要があります。

1-1. 身体検査が必要な理由

国家資格を取得すると、人口集中地区の上空での飛行や目視外飛行が可能になります。一等資格では、第一種機体認証との組み合わせにより、第三者上空での飛行(レベル4飛行)も認められます。

こうした飛行では、操縦ミスや判断の遅れが第三者の生命・財産に被害を及ぼすおそれがあります。そのため、航空法では操縦者に対し、機体の状況や周囲の環境を正確に認識し、適切に操縦できる身体的能力を備えていることを求めています。

1-2. 一等資格と二等資格で検査基準は異なる

ドローンの国家資格には「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」の2つの区分があります。一等資格はよりリスクの高い飛行を目的とするため、学科や実地試験の難易度は高く設定されています。

身体検査の基準についても、一等と二等では異なる場合があります。 具体的には以下のとおりです。

区分

適用される身体検査基準

二等無人航空機操縦士

標準基準(視力・色覚・聴力・運動能力)

一等無人航空機操縦士(最大離陸重量25kg未満限定)

二等と同じ標準基準

一等無人航空機操縦士(最大離陸重量25kg以上・限定変更)

国際民間航空条約附属書一の第三種身体検査基準相当(より厳格な基準)

一等25kg以上の限定変更を行う場合は、医療機関での受診が必須となり、運転免許証による代替も認められません。また、診断書の記載には航空医学に関する専門的な知識が必要なため、指定航空身体検査医に受診することが推奨されます。

身体検査を受けられる医療機関

一等無人航空機操縦者技能証明(25kg以上)の身体検査を受検する場合は、国土交通省が公開している医療機関一覧をご確認ください。

無人航空機操縦者身体検査機関(PDF形式)

※受検を希望する医療機関へ、事前に対応可能かどうかをご確認ください。

2. 自動車の運転免許証による身体検査の省略方法

航空法施行規則では、「書類提出による証明(代替)」という方法が認められています。

注意:この代替方法が利用できるのは、二等および一等(25kg未満限定) の場合に限られます。一等で25kg以上の限定変更を行う場合は、医療機関での診断書提出が必須です。

2-1. 代替として認められる書類と認められない書類

有効な自動車の運転免許証を提出すると、身体検査を受検したものとみなされ、医療機関での検査は不要になります。自動車免許の取得・更新時に求められる身体的要件(視力基準等)が、ドローン操縦に必要な要件を満たしていると認められるためです。

代替として認められる公的な証明書類

  • 自動車の運転免許証(自動二輪免許、小型特殊免許、原付免許を除く)
    • ※マイナ免許証読み取りアプリより読み取った免許情報または免許情報記録確認書も可
  • 指定航空身体検査医が発行した航空身体検査証明書
  • 無人航空機操縦者技能証明書(すでに別のドローン国家資格を保有している場合)
  • 航空機操縦練習許可書

代替として認められない免許証

  • 原動機付自転車(原付)免許
  • 小型特殊自動車免許

これらは、ドローンの操縦に求められる視力要件の基準値が普通自動車免許と異なるため、代替書類としては認められません。

2-2. 申請手順と差し戻しを防ぐポイント

身体検査の書類提出手続きは、以下の2つのシステムを順番に使用します。

  1. DIPS 2.0(国土交通省) にてアカウントを作成し、「技能証明申請者番号」を取得する
  2. 試験申込システム(ClassNK運営) にてアカウント登録を行い、証明書類をアップロードする

差し戻しを防ぐポイント

免許証の画像アップロード時、以下の理由で審査から差し戻されることがあります。

  • フラッシュや蛍光灯の光が反射して文字が読めない
  • ピントが合っておらず不鮮明
  • 免許証の端が写真から見切れている

撮影する際は、明るい場所で光の反射を防ぎ、氏名・有効期限・免許の条件欄の文字がすべて読み取れる鮮明な画像を準備してください。

3. 身体検査の具体的な合格基準

以下は、二等および一等(25kg未満限定) に適用される標準的な身体検査基準です。

3-1. 視力・色覚・聴力・運動能力の基準一覧

検査項目

合格基準の概要

視力

両眼で0.7以上、かつ一眼でそれぞれ0.3以上(※一眼が満たない場合は他眼の視野が左右150度以上、視力0.7以上で可)

色覚

赤色、青色、黄色の識別ができること

聴力

後方2メートルの距離から発せられた通常の強さの会話の音声が正しく聞き取れること

運動能力

施行規則第236条の62第4項第1号または第2号に定める身体の障害がないこと(条件付き合格となる場合あり)

※聴力基準について

「10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること」という表現が条文上に存在しますが、国土交通省の「身体検査等実施要領」では、実際の検査方法として「後方2メートルの通常会話音声」が採用されています。

3-2. メガネやコンタクトレンズによる矯正について

メガネやコンタクトレンズを使用した矯正視力での受検が認められています。矯正視力で基準を満たしていれば合格できます。

ただし、技能証明書には「眼鏡等使用」の条件が付され、実際の飛行時には矯正器具を装着する義務が生じます。聴力における補聴器の使用も同様に認められており、条件付きでの合格となります。

4. 運転免許証がない場合は「医療機関(病院)」で受診

自動車の運転免許証(原付・小型特殊を除く)をお持ちでない方や有効期限が切れている方は、医療機関(病院・クリニック)を受診して身体検査を受け、「身体検査証明書」を取得・提出する必要があります。

受診から提出までの手順と注意点は以下のとおりです。

  1. 専用書類の準備

指定試験機関(ClassNK)の試験案内サイト(ua-remote-pilot-exam.com)から、専用の「身体検査証明書」フォーマット(PDF形式)をダウンロードし、印刷して持参します。
※一等25kg以上の場合は「別紙」(Excel形式)も必要です。

  1. 病院選びと予約のコツ

一般の病院ではドローンの身体検査に対応した経験がない場合があります。予約の際は「無人航空機操縦者のための専用用紙があり、一般的な視力や聴力の検査を行って署名をもらいたい」と具体的に伝え、対応可能か確認してください。
※一等25kg以上の場合は航空医学の専門知識が必要なため、指定航空身体検査医への受診を推奨します。

  1. 費用の目安

保険適用外のため、診断書の発行費用として3,000円〜10,000円程度が自己負担となります(医療機関により異なります。事前に確認してください)。

5. まとめ

ドローンの国家資格における身体検査は、安全な運航を確保するための必須の手続きです。

  • 二等・一等(25kg未満限定):自動車の運転免許証があれば書類提出のみで省略でき、視力に不安がある場合もメガネやコンタクトレンズによる矯正が認められています。
  • 一等(25kg以上):運転免許証による代替は不可。指定航空身体検査医による診断書の提出が必要です。

免許証がない場合でも、事前に専用フォーマットを準備すれば医療機関でスムーズに受診できます。手続きの全体像を把握したうえで、学科試験の準備やドローンスクールの受講へ進んでください。

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参照・引用元一覧

  1. 国土交通省「無人航空機操縦者技能証明等」 - https://www.mlit.go.jp/koku/license.html

この記事を書いた人

中山 慶一 中山 慶一

ドローンマスターズスクール運営元 株式会社モビリティテクノ ドローン事業部統括部長 2017年からドローン業務に従事し外注案件及び新規スクールの開校を手掛けています。