ドローンの語源とは？名前の由来から歴史まで完全解説！

飛行音の類似性：無人航空機は飛行時に一定のブーンという低音を発することがあり、雄バチの羽音と似ています。
自律的な動作：多くの無人航空機は自律飛行が可能で、単調かつ継続的な動作をする点が「Drone」という言葉の意味と一致します。
軍事用語としての普及：1930年代、イギリス海軍が標的機として使用した無人機「Queen Bee（クイーンビー）」に由来し、アメリカ軍が同様の機体を「Drone（雄バチ）」と呼んだことがきっかけで、無人航空機の名称として広まりました。

こうした理由から、現在では無人航空機（UAV: Unmanned Aerial Vehicle）の一般的な呼び名となりました。特に軍事分野での使用がきっかけとなり、その後民間利用にも広がった結果、今では一般的な用語として定着しています。

「ドローン」は英語でどんな意味？

「ドローン（Drone）」という英単語は本来、以下のような意味をもちます。

1. 雄バチ

2. 低く持続的に響く音

例えば、ミツバチの羽音や機械のうなり声など、一定の低い音が続く状態を指します。

3. 単調に話すこと

一定のトーンでの話し方や、背景に流れる一定の音のようなものを指します。

ドローンとハチの意外な関係とは？

ドローンとハチにはいくつかの共通点があり、そのことからも無人航空機がドローンといわれるようになりました。

① 雄バチ（Drone）は働かず飛び続ける生態から名付けられた

ハチの巣には 女王バチ、働きバチ、雄バチ の3つの種類が存在しますが、雄バチ（Drone）は以下のような特徴を持っています。

蜜や花粉を集めることはなく、女王バチとの交尾のみが役割
巣の外を飛び続け、女王バチを探す
一定の飛行パターンを持つが、自ら積極的な活動はしない

このように、単独で働かず飛び続ける「雄バチ」の生態が、遠隔操作で飛行し、単調な動きを繰り返す 無人機（ドローン） の特徴と似ていたことから、無人航空機の名称として「Drone（ドローン）」が定着しました。

② ドローン（無人機）の飛行音が「ブーン」と響く蜂の羽音に似ている

無人機は飛行中、プロペラやローターが「ブーン」という低く持続する音（humming sound） を発します。
この音がハチの羽音と似ているため、「drone」という言葉がよりふさわしいものとして受け入れられました。
実際に、英語では「drone」という単語が「低く持続的なうなり音」という意味でも使われます。

③ 群れで動くハチと、群れで飛行するドローン技術の類似性

最近のドローン技術では、AIを活用した 「スウォーム（群れ）」技術 が発展しており、多数のドローンが協調して飛行・作業を行います。これは ハチの群れが協力して動く生態 に似ています。

軍事用途： 小型ドローンが集団で敵を撹乱する「スウォーム戦術」
農業・環境： ドローンが協力して花粉媒介を行う「人工受粉ドローン」
物流・輸送： 自動制御された配送ドローンが空を飛び交う未来

このように、ハチの生態とドローンの技術が共通しており、「Drone（ドローン）」という名称は意外なほどしっくりくるものとなっています。

軍事技術としての「ドローン」の歴史

ドローン技術は軍事用途として発展し、1930年代にイギリス軍が開発した無人標的機「Queen Bee」がその起源とされています。その後、アメリカ軍がこの技術を取り入れ、「Drone（雄バチ）」という呼称が広まることとなりました。

イギリス軍が開発した無人標的機「Queen Bee」は遠隔操作で飛行し、対空射撃訓練の標的として使用されました。

この技術が、後の無人航空機（UAV: Unmanned Aerial Vehicle）の発展に大きな影響を与えました。

アメリカ軍はイギリスの「Queen Bee」の成功に影響を受け、同様の無人標的機の開発を進めました。1930年代後半、アメリカ海軍と陸軍航空隊（後のアメリカ空軍）は、無人機を軍事訓練に活用し始めました。

その際、イギリスの「Queen Bee（女王バチ）」の対比として「Drone（雄バチ）」という名称が採用され、それが「無人航空機＝ドローン」のイメージにつながり、ドローンの由来となっていると言われています。

ドローンとラジコンはどう違う？

ドローンとラジコンの定義の違い

「ドローン（Drone）」と「ラジコン（RC: Radio Control）」はどちらも遠隔操作で飛行できる機体ですが、技術的な違いや操作方法に明確な差があります。

① ラジコン（RC）とは？

ラジコン（RC: Radio Control） は、送信機（コントローラー）からの手動操作 によって飛行する無人航空機です。

【ラジコンの特徴】

完全手動操縦：操縦者がスティックやボタンを使って直接操作
基本的な機能のみ：高度なセンサーや自律制御システムはほぼ搭載されていない
GPSなし：位置情報を利用した飛行補助がないため、操縦にはスキルが必要
用途：ホビー・レース・エンターテインメント

✦ 例：RCヘリコプター、RC飛行機、RCカー

② ドローン（Drone）とは？

ドローン は、遠隔操作に加えて、自律飛行やAI制御が可能な無人航空機 です。

【ドローンの特徴】

手動操作＋自律飛行の両方が可能
GPS搭載で自動飛行やホバリング（空中停止）が可能
センサー搭載で障害物回避や安定飛行が可能
プログラムによる自動飛行（ウェイポイント飛行など）
用途：軍事・測量・農業・物流・撮影・災害救助

✦ 例：DJI製ドローン（Mavicシリーズ、Phantomシリーズ）、軍事用ドローン（RQ-4 グローバルホーク）

③ 技術的な違い

項目	ラジコン（RC）	ドローン（Drone）
操作方法	完全手動操縦	手動＋自律飛行
GPS	なし	あり（自動帰還・位置固定）
センサー	なしまたは最小限	障害物回避・高度維持センサー搭載
飛行の安定性	操縦者の技量に依存	自動で安定飛行
用途	ホビー・競技	撮影・測量・軍事・物流・救助

ラジコンは手動操縦のみ、ドローンは自律飛行も可能
ドローンはGPSやセンサーを搭載し、安定飛行ができる
ドローンはプログラムで自動飛行できる

つまり、「ラジコンは完全手動の操縦機、ドローンは自律飛行が可能な無人航空機」 という違いがあります。

ドローンとUAV・UAS・マルチコプターの違い

「ドローン」という言葉は広く使われていますが、UAV・UAS・マルチコプターなど、技術や用途によって異なる関連用語があります。それぞれの違いを整理すると、以下のようになります。

① UAV（無人航空機：Unmanned Aerial Vehicle）

定義： パイロットが搭乗せずに飛行する航空機全般（遠隔操作または自律飛行）
ドローンとの関係： ドローンはUAVの一種
特徴： 軍事用・商業用・調査用など広範囲の無人航空機を指す
例：軍事用無人機（MQ-9 リーパー、RQ-4 グローバルホーク）、測量・監視用固定翼ドローン

✅ 「UAV」は、ドローンを含む広義の無人航空機の総称

② UAS（無人航空システム：Unmanned Aircraft System）

定義： UAV本体＋操作システム＋通信機器＋地上管制などの総合システム
ドローンとの関係： ドローン単体ではなく、その運用全体を指す
特徴： 軍事・産業用途でよく使われる用語
例： UAV（無人機）＋地上操縦ステーション＋通信システム

✅ 「UAS」は、UAVを含む運用システム全体の概念

③ マルチコプター（Multicopter）

定義： 複数の回転翼（プロペラ）で飛行する無人航空機
ドローンとの関係： 現在主流のドローンのほとんどがマルチコプター型
特徴： ホバリング（空中停止）が得意で、安定性が高い
例：クアッドコプター（4枚翼）、ヘキサコプター（6枚翼）、オクトコプター（8枚翼）

✅ 「マルチコプター」は、ドローンのうち複数の回転翼を持つ機体のこと

④ 用語の関係性まとめ

用語	定義	ドローンとの関係
UAV	無人航空機	ドローンはUAVの一種
UAS	UAV＋操縦・運用システム全体	ドローンの運用システム
マルチコプター	複数の回転翼で飛行する機体	ほとんどのドローンがこれに該当