昨今、SNSをはじめ、映画・ドラマなどで積極的にドローンの活用が広まっています。
これまでは撮影機材のひとつでしかなかったドローンが、
医療ドラマの中で医療機材を運ぶ最速の手段として取り入れられているほどです。
事実、アメリカでは山で遭難した少女を救助隊が数日発見できなかったのに対し、
ドローンを導入したところ約20分で発見するという素晴らしい実績も記憶に新しいです。
また、こういった仕事分野だけでなく、美しい映像が安定して簡単に撮影できることから、
趣味でも需要が増加しています。
最近のドローンは安全性や自動飛行性能が各段に進化しているため、初心者でもドローンの練習を通じて、操作技術を習得し、自信を持って飛ばすことが可能です。
しかし、ドローンは「空を飛ぶもの」ですので練習は欠かせません。
今回は需要が急激に増加している国家資格の講習内容と現場で役立つ空撮スキルの2つに分けて
有効な練習方法をご紹介しようと思います。
操作方法の前に、ドローンはその動きにそれぞれ名前がついています。
エレベーター :前進・後退
ラダー :回転
エルロン :左右移動
スロットル :上下
これらの名前はヘリコプターや固定翼機でも共通です。
覚えることは必須ではありませんが、知っておくことで自身の操縦で応用がしやすくなり
仕事や映像表現の幅が広がります。
さっそくドローンの操作方法をご紹介します。
操作方法は「モード1」「モード2」の2種が代表的です。
【モード1】
左スティック:前進・後退 / 左回転・右回転
右スティック:上昇・下降 / 左移動・右移動
モード1は移動方向が両手で分かれているのが特徴です。
常に両手を同時に使うため、覚えて慣れるまでは少し難しいですが、左手は前進のみ、右手は左右の位置調整に集中できるため、点検や農薬散布などの直線を求められる飛行に向いています。
【モード2】
左スティック:上昇・下降 / 左回転・右回転
右スティック:前進・後退 / 左移動・右移動
モード2は移動が右手に集まっており、直観的に操作できるのが特徴です。
ドローン初心者や空撮・ドローンレースなど、なめらかな飛行やアクロバティックで忙しい操作に向いています。
DJIなどの大手メーカーも購入時にデフォルトでモード2になっていることが多く、初めてのドローン操作で触れることが多い操作方法です。
※メーカー・モデルにより操作方法や呼称が異なる場合があります。
例:DJI製品ではモード2の操作が両手で逆になる「モード3」が存在します。
これらの操作方法は国・資格・職種・メーカーによって固定されていることはありませんので、これから長くドローンと付き合っていくにあたり、自分の感覚に合う操作を選びましょう。
特に資格取得に関しては不慣れな操作方法だと減点が重なり、不合格を繰り返してしまう可能性があります。
自分に合ったモードを確認したら、まずは基本操作と動作確認をしてみましょう。
①離陸
スティックを「ハの字」に倒してプロペラを回転させます。
回転したのを確認したら、スティックをじんわり倒して上昇します。
目線の高さが目安です。
②ホバリング
見やすい高さに着いたらまずはドローンの挙動を確認します。
基本的には自動で安定してくれますが、天候や電波状況によって勝手に流れるなど
不具合が発生することもありますので、異変を感じたらすぐに着陸しましょう。
③動作確認
離陸に異常が無ければ、各動作を確認しましょう。
前後・左右・上昇・下降・左回転・右回転を順番に、約1mずつの移動で行います。
この時、自分のしたい操作が合っているか、想定以上の距離や強さで動いていないかをチェックします。
④着陸
各動作に異常が無ければ、一度着陸しましょう。
ゆっくりと高度を下げ、ドローンのスキッド(脚)が地面に着くまで続けます。
着陸後、スティックをめいっぱい下げて3秒キープし、プロペラが完全に停止するまで目を離さないように。
完全に停止して、異音や振動が無ければ着陸完了です。
以上の動作は、講習中のみだけでなくプライベートの飛行前にも必ず行うことをお勧めします。
それでは、国家資格の講習に有効な練習やポイントをご紹介します。
まず、国家資格講習に向けてのポイントは「完璧になろうとしないこと」です。
もちろん、将来のお仕事や安全性を考えると上手く操縦できるに越したことはないですが、
国家資格はあくまで「試験」、合格できればOKです。
簡単に国家資格の実技をご紹介すると、全部で3種目です。
①スクエア飛行
5m×13mの長方形で設定されたA~E地点・着陸ポイントを進行方向に向けながら、
順番に回ります。
直線のみで構成されたシンプルなコースですが、高度が3.5mと見上げる高さなので地面との距離感が把握しづらく、思った以上に狙いがつけにくい項目です。
②8の字飛行
直径5mが横並びになった円を右円→左円の順に2周します。
高度は1.5m、つまり目線の高さなのでスクエアよりも見やすくなります。
しかし、8の字は常に向きを滑らかに変えながら進み続けるため、混乱しない方向感覚と滑らかな両手同時の操作が求められます。
ドローンマスターズスクールの卒業生でも「これが一番むずかしい」とよくお声を聞く項目です。
③異常事態を伴う飛行
高度3.5mで機首は正面のまま、コース上を横移動で往復、試験官の指示で最短距離で着陸まで行うシンプルな内容。
一見難易度が一番低いように見えますが、この項目は位置を保つセンサーをあえてオフにするため、常に操作を続けないと勝手にどこかに流れて行ってしまいます。
最近のドローンはどれも優秀ではありますが、電波を扱う以上トラブルは常に隣り合わせなので、緊急事態の対応が求められる項目です。
国家資格の試験では「ふらつき」「急な加減速」など、些細な動きのミスで細かい減点が重なってしまうため、「一定の速度を保つ」「なめらかに操作する」ことが求められます。
・一定の速度を保つには
とにかく動き出しを「じんわり」と触りましょう。
ドローンの操作は車の運転に似ている部分が多く、スティックを強く倒すほどモーターの回転数が上がり、あっという間に制御できない速度まで加速します。
じんわりと操作を始めることで「強弱を意識する」癖がつき、速度の調整も動きを止めることなく自然と身についてきます。
0か100か、の極端な操作をしてしまうとゲーム機のようにガチャガチャとスティックを扱う癖が抜けず試験だけでなく、空撮でも不自然な揺れが入る映像になってしまいます。
・回転を使うときは思い切って回す
回転は主に8の字飛行で多用します。
ドローンはすごく素直なので、回転を中途半端に止めてしまうと、わずかでも止まっている間に直進し、思った以上に大きく膨らんでしまいます。
特に8の字は目線の高さでの飛行なので、奥行きが認識しづらく、気づいたら減点区画に、なんて可能性もあります。
さらに、複雑な動きが求められる8の字では、手を止めずに一定のペースで回し続けることが求められるので、回転が足りないよりは、回しすぎるくらいの方が上手くいくことがあります。
以上のほかにも、広いコートに慣れる、口述試験の項目を暗記するなど、合格に向けてやることはたくさんありますが、インストラクターが最後までバッチリサポート致します。
国家資格に無事合格したら、いよいよ空撮に備えましょう。
最近のドローンはどれも性能がよく、自動飛行も充実していますが、手動操作のようななめらか
且つダイナミックな動きは苦手です。
より良い映像を撮って注目を浴びるには手動操作をマスターして、
どんな要望にも答えられるようなパイロットを目指しましょう。
①ジンバル操作
まず国家資格講習との一番の違いは「ジンバル(カメラ)操作が伴う」ところです。
講習の時は決まった経路をキレイに飛行できればOKでしたが、空撮は被写体をしっかりとカメラで捉えていないと意味がありません。
ジンバル操作は多くのメーカーがプロポの「左手人差し指あたり」に設定することが多く、
ダイヤルを左右に回すことで、ジンバルの角度を調整できます。
ドローンを止めたまま下から上に見上げる、など様々な使い方がありますが、
まず試して欲しい練習は「ドローンを上下させながら、被写体に合わせてジンバルを上下させる」です。
空撮動画でもっともよく見かける「ドローニー」と呼ばれる、被写体の位置と背後の景色を壮大に見せるテクニックの元になります。
②追跡
次に試してほしいのは「追跡」。
いまはほとんどのドローンに自動追跡機能が搭載されていますが、意外と動きがカクカクしていて「あ、自動だな」と簡単にバレてしまいます。
被写体は人・自転車など、なんでもOKです。十分に注意しながら飛行してください。
ジンバル操作はせず、被写体に速度を合わせながら左右の回転もカクッとしない滑らかな動きを意識します。
慣れてきたら前進だけでなく左右や後退も使ってみましょう。
あとで映像を見たときに自動でやってるの?と思えるくらいなめらかに撮れていれば完璧です。
③ノーズイン
シンプルな動きに慣れてきたら、被写体を画面の真ん中に捉え続けるノーズインもやってみましょう。
モード1・モード2ともに初めて両手を同時に使う動きになると思います。
例えば、被写体を中心に時計回りしたい場合、「左移動・右回転」の操作になります。
この時意識するのは「画面の中心に被写体を捉え続けること」
移動はしているけど回転がカクカクだと、なんとも言えない映像になってしまいます。
カメラ設定でグリッド線を表示して集中しやすくするのもおすすめです。
④自動飛行を自分の手で動かしてみる
DJI製品など、最新のドローンは飛行・撮影・着陸をすべて自動で行ってくれるくらい優秀ですが、1本の作品としてみるとまだまだな部分があります。
そこで、上昇+後退するドローニーや、垂直上昇して高度を楽しむロケットなど、普段は自動で済ませてしまう操作を手動で再現してみましょう。
いつもは見て楽しむだけだった動きがどれだけ難しかったのか、実際に動かせると自信が出ますし、もっと上手くなりたい、とモチベーションのアップもできます。
DJI Air3S:Air3は10月に発売されたばかりの最新モデルです。
飛行性能は最上級モデルのMavic3にも劣らず、全方向障害物センサーで安全性も問題なし。
飛行時間も最大45分に延長され、思う存分フライトを楽しむことができます。
動画は最大4k/120fpsまで設定可能で、誰でもすぐに映画レベルの映像を手にすることができます。
初めてドローンを買うけど、風に強くて映像もキレイ、でも高級すぎるのは...とお悩み中の初心者さんにピッタリなモデルです。
Neo:Neoは9月に発売された超ライトモデルのドローンです。
ボディが小さい分、バッテリーも小さく飛行時間も短めですが、4kカメラを搭載しているため、バッチリ空撮できちゃいます。
Neoはアクティブトラックなどの自動飛行がメインのモデルではありますが、実はオプションでコントローラ付きが選べたり、スマホだけでも手動操作が可能です。
お値段もかなりライトで、機体単品なら約30,000円で購入できちゃいます。
TELLO:最後は優秀なトイドローンのTELLOです。
GPSは搭載していませんが、DJIが開発に携わっているのでその安定性はピカイチです。
スマホの画面だけでモード1・モード2の繊細な操作が可能で部屋の中でもレベルの高い練習が可能です。
高級なドローンは資格を取ったあと、今はとにかく練習!という方に最適なドローンです。
ドローンマスターズスクール各校では、機体の販売も行っています。
気になるモデルを実際に触りながらご検討頂けますので、ぜひご利用ください。
お渡しの際は初期設定から動作確認までお手伝い致しますので、
初めての購入でも安心です。
購入後の申請をサポートするコースもご用意していますので、ぜひご利用ください!
アフターサポートコースはこちら。
練習用の機材を選ぶうえで、シミュレータも一つの手段です。
練習用にドローンを購入するのもありですが、まだ講習中なのに機体買うのはちょっと...
ぶつけたら怖いし...なんて方はシミュレータがおすすめです。
シミュレータはドローンだけでなく、固定翼機やヘリコプターなど空を飛ぶものを全般的に触れることができます。
その分、コントローラ同梱で少々お値段はお高めだったりしますが、航空機そのものや、先述した「エレベーター」や「スロットル」を本当の意味で理解することができます。
フライトシミュレータはドローンマスターズスクール各校で体験することができますので、ご興味ある方はぜひお問い合わせください。
受講生はもちろん練習し放題です。
ドローンの練習場所を見つけるポイントはこの3点です。
・ドローンスクール
国家資格をはじめとしたスキルを学ぶことができるドローンスクールは、卒業生特典として練習用コートをレンタルしている場合があります。
スクールのコートはドローンを飛ばすことに特化しているため、広々とした空間で練習が可能です。
チャレンジしたい項目や、試したい機能の把握にも最適で、最大のメリットはインストラクターにすぐ質問できること。
ドローンの性能や練習のコツを熟知している人が近くにいると安心して練習できますね。
また、屋内型スクールであれば申請の心配もせずに気軽に飛ばせるため、新しく買った機体の練習にももってこいです。
ドローンマスターズスクールでは系列のスクールの卒業生様であれば、どこでもコートレンタル可能です。ぜひご利用ください!
・市営の練習フィールド
河川敷や運動場をドローン練習場として開放している地域もあります。
「OO市 ドローン」「OO県 ドローン練習場」などで検索すると探しやすくなります。
なかには、在住の市民限定やネットでの予約が必要なフィールドもありますので、事前によく確認をお願いします。
・自身で許可を取って海や山で練習
県や市の条例にもよりますが、海水浴場や川、山などでも飛行可能な場合があります。
飛ばしたい場所が観光地や人が集まりやすい場所の場合、まずは該当の市役所などに問い合わせるといいでしょう。
しかし、ただ飛ばしたいだけだとお断りされる場所も多く、その際は「資格や許可証を所有している。飛行目的はOOで、安全対策はこうする予定です。」など、飛行に関して万全な体制を取っていることを忘れずに伝えましょう。
・自宅
所有しているドローンがトイドローンなら、ご自宅での練習も可能です。
トイドローンなら手の平サイズの物が多いため、部屋の中でも安心して飛ばすことができます。
廊下など比較的狭めな通路を使ってルートキープ練習や、テーブルや椅子の間を縫って滑らかな空撮練習ができます。
今回はドローンスキル上達に有効な練習方法をご紹介しました。
2022年ごろまでは民間資格が多く、「実技特化」「知識特化」など、発行団体によりカリキュラムに差があり、どんな練習をすればいいかわかりにくい時期がありましたが、
現在主流の一等・二等資格はカリキュラムや資格発行までの手順が国で管理されて統一されているので、自主練もしやすくなりました。
減点基準など、厳しく見られる部分もありますが、空を飛ぶものだからと難しく考えず車の教習所と同じで、教わったことをそのまま行えば大丈夫です。
ドローンマスターズスクールでは最新の法律やカリキュラム体験できる無料説明会を毎日実施中です。
東京・埼玉・茨城など関東一円でオープンしていますので、お近くのスクールでぜひご参加ください!